「ドカ雪に埋もれて」除雪車事故、5Gシステムで防げ 青森県が実験

「ドカ雪に埋もれて」除雪車事故、5Gシステムで防げ 青森県が実験

障害物が近づいたことを示す赤い画面が表示された、除雪車の運転席に設置されたタブレット端末=青森市田屋敷で2022年2月25日午前4時45分、江沢雄志撮影

 青森県は25日、高精細な映像や大容量のデータをより早くやりとりできる次世代通信規格「5G」を活用した除雪支援システムの実証実験を青森市で行った。全地球測位システム(GPS)と除雪車に載せた360度カメラによる運転支援を5Gと組み合わせた実験は東北初で、除雪時の物損事故や人身事故などの減少を目指し、今後は実用化への取り組みが期待される。【江沢雄志】 今回の実験は県がNTTドコモ東北支社、八戸市のIT企業「サン・コンピュータ」と共同で実施。雪に覆われて見えなくなったマンホールや縁石などを傷つけないよう除雪すること、慣れていない運転者でも安全に作業できるよう、遠隔で死角の確認や声かけができることを目的に行われた。 実験では、市内のスーパーで駐車場を除雪する除雪車に、高精度のGPSアンテナとタブレット、遠隔操作可能な360度カメラを設置。タブレットには除雪車の正確な位置情報を基にした立体地図が表示され、障害物に近づくと画面が赤くなった。一方、離れた場所にある本部には除雪車からの映像がリアルタイムで届き、死角や急な障害物の出現などに関係者が目をこらした。 除雪事業者の間では吹雪で視界が悪い時や降雪量が多い時に、雪に隠れてしまったマンホールや縁石に除雪ショベルがぶつかり道路の基礎などに傷をつけてしまうことがあり、高額な修理費用などが課題となっていた。実験に参加した青森市の除雪事業者、吉野文恵さん(45)は「今年のようなドカ雪だと普段は見えているものも埋もれてしまう。私たちも作業をしながら事前に撮った写真や地図などを見ているが、こういうシステムがあれば心強い」と話した。 県はあらゆる機器を通信でつなぐIoT(モノのインターネット)社会の到来を見据え、2020年度から5Gを活用した地域課題解決の実験を行っており、今後も地域課題に応じた新たなビジネス創出に向けて取り組みを進める。

最終更新:毎日新聞

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