畜産農家への補助金支給遅れ、なぜ常態化?

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詳しくはこちら2021年10月13日の日本経済新聞朝刊1面に「畜産基金、支給遅れ常態化」という記事がありました。2015年度につくった畜産農家の経営効率化を促す国の基金の柱である農機リース補助事業で、農家への補助金支給の遅延が相次いでいます。どんな背景があるのでしょうか。

ここが気になる

農林水産省は環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、畜産農家の体質強化へ農機リース費の最大半分を補助する基金事業を設置しました。日本経済新聞の調べでは16年度に内定した約8700件のうち年度内支給はわずか450件。3割は18年度以降にずれ込み、16~20年度全体では翌々年度以降に支給する割合が5割を超えました。

支給を遅らせているのは煩雑な書類手続きです。支援の内定は簡単な確認だけで出るものの、その後の手続きでは契約申込書のほか、経営計画やリース費の見積もりなど約10種類の書類を求めます。これをわずか5人の職員でさばき何度もやりとりするため、双方の負担が膨らむ構造的な問題を抱えています。

支給遅れにしびれを切らして諦める農家もあり、17年度は内定6700件のうち1割強が辞退しました。支給遅れや辞退で基金の支出は少ないにもかかわらずそれを上回る国費が毎年投入され、設置時に659億円だった残高は20年度末に1007億円に膨らみました。そもそも支援が不可欠な農家はどれほどあるのかといった検証が必要です。

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若手編集者が同世代にむけて新聞の読みどころを発信する「朝刊1面を読もう/Morning Briefing」は平日朝に公開します。週末は1週間のニュースを振り返る動画を配信しています。この記事をまとめた人:前田健輔2018年入社。首相官邸などの取材を経て、現在は電子版と紙面の編集を担当。酒類各社がチューハイ市場で度数7%台の「中アルコール飲料」に軸足を移しているそうです。コロナ禍で自宅でお酒を飲むことが増えましたが、度数の高いものを飲みすぎないように注意していたところだったので、この記事には納得感がありました。アプリで開く

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