フランフラン、タブレットで家具提案やギフト探し デジタルでライフスタイル提案

フランフラン、タブレットで家具提案やギフト探し デジタルでライフスタイル提案

連載《Hot Zone》

タッチパネルで部屋のコーディネートなどを提案する(東京都千代田区のフランフラン ルミネ有楽町店)

フランフラン、タブレットで家具提案やギフト探し デジタルでライフスタイル提案

 インテリア雑貨のフランフラン(東京・港)は2021年9月、タブレット端末やデジタルサイネージ(電子看板)などのデジタル技術を活用した新店舗をルミネ有楽町(東京・千代田)に開いた。部屋のコーディネートやギフト提案などをタブレット端末に表示して紹介する。対面での接客とデジタルを組み合わせる実験店だ。

■雑貨、化粧品、家具2000点からコーディネート提案

 「ルミネ有楽町ルミネ1」の5階。若者でにぎわうおしゃれな店舗が立ち並ぶ一角に、フランフランの新店舗はある。雑貨や化粧品、家具など約2000点をそろえ、客層は20~40代の女性が中心。だがギフト商品や加湿器などの生活家電も充実しており男性など新規顧客層も獲得している。 ピンクゴールドや大理石柄を基調とした内装で仕上げたこの新店舗の最大の特徴は、デジタル技術の活用だ。商品を紹介するデジタルサイネージ1台と商品やコーディネートを提案するタブレット端末を4台設置した。フランフランとして初の試みだ。 同社はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、リアルとバーチャル空間を組み合わせた体験型店舗の開発を進めている。ルミネ有楽町店はその実験店として運営し、今後の店舗開発の足がかりにする役割を担う。 タブレット端末は商品群別に用意している。家具、加湿器などの生活雑貨、ギフト商品、ラグなどのファブリック商品の4分野。店頭のタブレット端末で提供するのは電子商取引(EC)サイトとは異なるオリジナルのコンテンツだ。

■スタッフおすすめの化粧品は動画で説明

 例えば家具の売り場のタブレットで「エレガント」「スイート」などの希望する雰囲気と、寝室やリビングなどの使用場所を選択すると、そのニーズに合わせた商品や、部屋での使用感を写真で示してくれる。 ギフトの売り場ではフランフランのスタッフがおすすめする化粧品などを動画で説明。「1000円以下」から「3000円台」まで4つの予算別に応じた商品を提案する。 多様な商品を扱うフランフランでは、豊富な商品知識や提案力で客の要望にきめ細かく応える接客が求められる。ルミネ有楽町店の三宅悦子店長は「商品を使用する際のイメージなどを具体的に伝えられるほか、動画の活用でスタッフが不在でもおすすめ商品を提案できる」とタブレット端末の利点を指摘。接客や会計などで来店客にスタッフが対応できない場合でも、タブレット端末で商品提案ができ、機会損失を抑えられる。 タブレット端末で提供するコンテンツはECとも連動しており、来店客は表示されたQRコードをスマートフォンで読み取れば商品をネット通販でも購入できる。売り場面積の狭い都心部の店舗では、家具などの大型商品を陳列する十分なスペースがないため、店頭のタブレットからECでの購入を促す狙いだ。食器などのキッチン用品や雑貨の併せ買い需要も見込んでいる。 デジタル技術を活用することで、どれだけ顧客の買い物時のストレスをなくしたり、体験価値を高めたりできるか。ルミネ有楽町店での実験の成果は同社の今後の店舗戦略にとって重要なものになりそうだ。(加藤彰介)[日経MJ 2021年12月15日付]

最終更新:NIKKEI STYLE