企業がWindows 11に「すぐにアップデートしてはいけない」明確な理由
ITと経営の融合でビジネスの課題を解決する
ビジネス+ITとは?
ログイン
メルマガ登録
ビジネス+ITとは?
営業戦略コスト削減組織改革生産・製造危機管理コンプライアンス省エネ・環境対応業種・規模別基幹系情報系運用管理セキュリティネットワークモバイルハードウェア開発 関連ジャンル
企業がWindows 11に「すぐにアップデートしてはいけない」明確な理由
マイクロソフトが10月5日、新たなOSとして「Windows 11」の提供を開始した。Windows 10をベースに開発されており、Windows Updateを経由して無料でアップグレードできる。各メーカーからはプリインストールPCがすでに発表されており、「落ち着きのあるデザイン、中央に配置したスタート画面、画面の効率利用を促すデスクトップ、タスクバーに統合したTeamsベースのチャット」などさまざまな機能が新たに提供されている。一方で、要求するハードウェア要件が比較的高いことや多くの不具合も確認されており、急いでアップデートするにはリスクが伴う状況だ。
執筆:友永 慎哉
執筆:友永 慎哉
製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。
<目次>
- 顕在化しているさまざまな課題
- Windows 11が求めるシステム要件の水準が高い
- Windows 11で頻発している不具合リスト
- どんな組織もWindows 11 への移行には時間が必要
- 企業はWindows 11をどのように導入すべきか?4つの見解
顕在化しているさまざまな課題
マイクロソフトは、Windows 10から11へのアップグレードを段階的に実施し、2022年半ばまでに、すべての対象端末でアップグレードを完了できるようになると説明する。だが、Windows 11への更新には、利用端末が同OSの要求する要件に達していなくてはならず、対象端末が要件を満たすかを確認するアプリ「PC正常性チェック」を無償提供している。 一見、マイクロソフトの誘導に沿っていればスムーズにWindows 11に移行できるように見えるが、実際のところ更新には、懸念点が多く指摘されているのが実情だ。そのあたりについて整理してみよう。
Windows 11が求めるシステム要件の水準が高い
Windows 11はPCに求めるシステム要件が比較的高いことに注意が必要だ。CPUについては、動作周波数1ギガヘルツ以上で2コア以上の64ビット互換プロセッサ、またはSystem on a Chip (SoC)としている。メモリは4ギガバイト、ストレージは64ギガバイト以上が最低ラインだ。映像の出力は、DirectX 12以上に対応するグラフィックスカード、ドライバーモデルはWDDM 2.0以上としている。
Windows 11に求められる主なシステム要件 |
プロセッサ | 1 ギガヘルツ以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC) |
メモリ | 4 ギガバイト |
ストレージ | 64 GB 以上の記憶装置 |
システム ファームウェア | UEFI、セキュア ブート対応 |
TPM | トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0 |
グラフィックス カード | DirectX 12 以上 (WDDM 2.0 ドライバー) に対応 |
ディスプレイ | 対角サイズ 9 インチ以上で 8 ビット カラーの高解像度 (720p) ディスプレイ |
IT資産管理ソフトウェアを手掛けるLansweeperが、6万組織が持つ約3000万台のWindows端末を対象に実施した調査によると、多数の企業が今後何年にもわたって、Windows 10を使い続ける可能性を示唆している。 マイクロソフトが示したWindows 11のCPU要件を満たすマシンは44%にとどまり、セキュリティ機能を提供するマイクロチップである「Trusted Platform Module(TPM)2.0」の要件を満たすものも52%ほどしかなかった。 一方、RAMの容量については、91%とほとんどが満たしていた。なおTPMの一例としては、Windowsでデバイスのストレージを暗号化してデータを保護する「BitLocker」での利用が挙げられる。 また、大企業が導入する場合に、IT要件の問題がもう1つある。VMwareやHyper-V、Oracle VM Virtual Boxなどの仮想マシン(VM)基盤にも、マイクロソフトが提示するハードウェア要件が求められることである。Lansweeperは「VMにおけるCPUの互換性はPCをわずかに上回る44.9%だが、RAMについて満たしているのは66.4%にとどまる」と指摘。 さらに問題なのは、TPM2.0を有効にしている仮想ワークステーションが0.23%しかないということである。このため、仮想マシンのワークステーションのほとんどは、仮想マシンをTPMに対応させるためのTPMパススルーであるvTPMを導入しない限り、Windows 11にアップグレードできないのである。【次ページ】Windows 11で頻発している不具合リスト
OS ジャンルのトピックス
一覧へ
OS ジャンルのIT導入支援情報
一覧へ
PR
SBクリエイティブ株式会社
ビジネス+ITはソフトバンクグループのSBクリエイティブ株式会社によって運営されています。
ビジネス+IT 会員登録で、会員限定コンテンツやメルマガを購読可能、スペシャルセミナーにもご招待!