「ポータブルWi-Fi」レビュー
25/03/2022
ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
PC-9801VM2と見比べると分かりますが、正面のデザインが変わっています。また、背面にあったキーボード接続コネクタも前面に配置され、使い勝手が良くなりました。想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、後々までPC-9801シリーズの標準スペックマシンとして残る名機「PC-9801VM21」です。発売は1986年。
1985年に発売されたPC-9801VM2は、メインメモリが384KBで画面表示が640×400ドット・4096色中8色2画面というスペックでした( ※)。当時のソフトを稼働させるにはほぼ問題の無い仕様ではありましたが、PC-98シリーズ対応ソフトは以前紹介した「一太郎」シリーズのように640KBのメモリを必要としたり、4096色中8色ではなく16色を要求するタイトルも出現してきます。
※(8/18 20:50更新)記事初出時、PC-9801VM2が搭載するメインメモリの容量に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。正面には左から、リセットボタン、8/10MHzクロック切り替えスイッチ、蓋の中にボリュームと3連ディップスイッチが並び、その隣にキーボード接続コネクタ、電源ボタンがあります。すると、本体に追加で128Kbytesのメモリを載せたり、オプションだった16色ボードを増設するという話も出てくるようになるわけですが、PC-9801VM2発売から1年後にNEC自らがそれを行い、1986年11月に発表し市場へとデビューさせたのがPC-9801VM21でした。1つ前のモデルだったPC-9801VM2の時は、内蔵ドライブが5インチ2DD専用のPC-9801VF2もリリースされましたが、PC-9801VM21はいわば、それらすべての後継機種と言えるかもしれません。価格は390,000円で、バリエーションは無く5インチドライブ2基搭載モデルのみとなっていました。
広告では、同時期に発表された他機種と共に載っているバージョンが多いです。メインはPC-9801VXシリーズでしたが、本機と共にPC-9801UV2も人気を博しました。スペックとしては、CPUにはV30(8MHz/10MHz切り替え可能)を搭載し、メインメモリは増設することなく最初から640KBを内蔵。グラフィックスは640×400ドット・4096色中16色で2画面を表示できました。これ以外の部分での大きな変更点は、PC-9801VM2では本体背面に設けられていたキーボード接続端子が、前面右側に移動してきたことでしょう。筐体のデザインも、同時期に登場したPC-9801VXシリーズなどと同じものになっています。残念ながら音源に関しては、PC-9801Uシリーズに搭載されたようなFM音源ボードなどが内蔵されることはありませんでした。
背面は、左上上段に電源コネクタとサービスコンセント、下段にはマウスポートと1MB FDD接続端子、RS-232Cコネクタ、プリンタポート、右端には上から順に白黒モニタ接続端子、デジタルRGB接続端子、アナログRGB接続端子と並んでいます。RS-232Cコネクタとプリンタポートの間には、PC-9801VM21という銘板が貼られているのも、PC-9801VM2との違いです。PC-9801VM21の登場により、PC-98シリーズ向けソフトはそのほとんどが「PC-9801VM/UVシリーズ以降対応/要メモリ640KB/PC-9801VM2では16色グラフィックボードPC-9801-24が必要/PC-9801VF2では要外付け5インチ2HDドライブ」などと記されるようになります。逆に、このラインのスペックが達成できれば、かなりの期間を現役マシンとして過ごさせることが可能だったということでした。
ちなみに、キュウハチといえば起動時の“ピポ”音やメモリのカウントアップが特徴ですが、“PC-9801”シリーズで導入されたのはPC-9801VM21をはじめとした、この時期に登場した機種からです。それを確認するために、今回はPC-9801VM2とPC-9801VM21の起動時の動画を掲載しました。
【PC-9801VM2の起動時の様子】こちらは、正面にキーボードコネクタのないPC-9801VM2です。最初にBEEP音が鳴っていることを確認した後、リセットボタンを押しました。ピポ音やメモリカウントは行われないまま進行して、暫く沈黙した後にFDDのランプが点灯、小気味よいアクセス音を立てながらN88-BASIC(86)が起動したのが分かるかと思います。最初にBEEP音を鳴らしているのは「実はVM2でもピポ音が鳴ってるはずなのに、ボリュームが0だから聞こえないんだ!」というツッコミへの回答です(笑)。【PC-9801VM21の起動時の様子】PC-9801VM21は、正面にキーボードコネクタがあります。こちらも、最初にBEEP音が鳴っていることを確認してからリセットボタンを押しました。すると、少々間延びした「ピポ」という音の後にメモリカウントが始まり、その後にディスクから起動しているのが分かるかと思います。この個体はFDD1の調子が悪かったので、FDD2にディスクを挿入しN88-BASIC(86)を立ち上げました。これを見てもらえればわかるように、PC-9801VM2では起動音は鳴っていません。当時の記事などでは、PC-9801VM2とPC-9801VM21をまとめてPC-9801VMと表記していたものもあったので、「ピポ音が鳴るのはPC-9801VMから」と書かれたりしたことで、PC-9801VM2もピポ音が鳴ると思っていた人もいたのではないでしょうか。とはいえ「ピポ音が鳴るようになったのはPC-9801VM21からで、PC-9801VM2では鳴らない」という知識があっても、披露するシーンはほとんどないと思われますので、忘れても問題無いかと思われます(笑)。
本機と、同時期にリリースされたPC-9801VXシリーズは、その後も長らくPC-98シリーズのデファクトスタンダートとして活躍し、同シリーズが更に飛躍する大きな力となります。