「ポータブルWi-Fi」レビュー
25/03/2022
こんな日が来るとは!
Apple(アップル)が、ユーザー自身でのiPhoneやMacの修理を可能にする「Self Service Repair」を発表しました。これは2022年初頭から米国で始まるプログラムで、アップルが純正のパーツやツール、マニュアルをユーザーに提供し、ユーザー自身でのiPhoneなどの修理を可能にするものです。今まで「修理する権利」に後ろ向きな企業の代表格として名指しされてきたアップルにとって、重大な方針転換です。
アップル製品の修理の難しさを長年問題視していたiFixItの創業者でCEOのKyle Wiens氏は、この変化を下の動画で大歓迎しています。ガジェットの解体で知られるiFixItですが、メイン事業はガジェットの修理であり、特殊なネジを使うなどでサードパーティによる修理が難しいアップル製品には容赦なくダメ出ししてきました。そもそもiFixitを創業したのは2003年、iBookを自分で修理したら大変すぎたので、同じ苦労を他の人にさせないために独自の修理マニュアルやツールを整備していったとのこと。なので今回の発表にはひときわの感動があるようで、「アップルは誰でもiPhoneを直せる程度にはジーニアスだと認めた」と歓喜の声をあげています。
ただWiens氏は、Self Service Repairの懸念点も指摘しています。たとえばアップル純正パーツの価格が割と高くて、費用的にはアップル公式の修理に出すのと大して変わらないんじゃないかってことです。たとえば今サードパーティの修理業者がiPhone 12の画面をアップルから仕入れる場合、価格は270ドル(約3万1000円)ですが、アップル公式の修理料金は280ドル(約3万2000円)なので、差額は1,000円くらいしかありません。ただ、壊れた画面をアップルに引き渡すとその価格は235ドル(約2万7000円)になるそうです。Self Service Repairでのパーツ価格はまだわかっていないので、今後要注目です。
またWiens氏は、アップル製品の修理には、プロしか持っていないような特殊な道具が必要になる可能性もあると指摘しています。アップル自身もプレスリリースの中で、Self Service Repairはガジェット修理に慣れた人向けであって、ほとんどのユーザーにとっては「プロの修理業者に依頼するのが一番安全」と言ってます。
あとは日本のユーザーにとっては、DIYが普及した米国で始まるこのプログラムが日本にも来るのか、来るとしたらいつかってことも非常に気になる部分です。米国ではすでに27州が修理する権利を保証する法案を検討しているので、アップルを含めたメーカー各社は社会や政治からの圧力を感じてるわけですが、日本では修理する権利自体そこまで意識されていません。
ともあれ、今まで修理ルートを限定してきたアップルが、ユーザー自身による修理を認めたのは大きな一歩です。数年で劣化していくバッテリーや繊細なディスプレイを自前で手軽に交換できるようになれば、大事なガジェットをより長く使えるようになって、お財布にも地球にも優しくなれると期待できます。