「ポータブルWi-Fi」レビュー
25/03/2022
君はスーパーウルトラ名作の非対称型対戦アクションサバイバルホラーゲーム「Dead by Daylight(以下、DbD)」で遊んでいるか。俺(ナ月)はめちゃめちゃ遊んでいる。サバイバーとキラー、どちら側でもプレイするが、特にキラー側が好きだ。
本作は対戦ゲームという特性上、どうしても勝ち負けにこだわりがちだ。キラーでプレイするとき、サバイバーを全滅させることができたら高笑いしてしまうほど気持ちがいいし、全員に逃げられたら悶えるほど悔しい。当然サバイバーでのプレイでは、その逆だ。
しかし本作の楽しみ方は「勝ち負けを競う」だけではない。本作は、殺人鬼モノのホラー映画をモチーフにしているゲームだ。プレイヤーは、いかにホラー映画に登場する殺人鬼のように振る舞い、サバイバーをビビらせられるか。殺人鬼になりきったロールプレイがめちゃめちゃ楽しいのだ。
実際に、ホラー映画とのコラボレーションに力を入れており、キラーやステージはもちろん、能力やパークからも原作への愛が感じられるのが本作の魅力である。
今回はそんな中でも映画「ソウ(SAW)」とのコラボキラー「ピッグ」で、映画さながらの殺人鬼ロールプレイのためのパーク構成などを考えてみたい。そういう記事です。ジグソウになるぞ。
目が覚めたら見知らぬバスルームの隅に足が鎖でつながれて監禁されている。部屋の反対側には、もう1人同じような状態の男。部屋の中央にはジジイの死体……。「なんだこれは。一体どうすりゃいいんだ」というソリッドシチュエーションホラーの名作が「ソウ」だ。低予算ながらもその面白さでめちゃめちゃ大ヒットし、続編もつくられまくった。
後ろめたい過去がある者を拉致してきて死のゲームに参加させる殺人鬼ジグソウ、やたらグロいゲームに翻弄されるゲームの参加者、そしてジグソウを追う警察。三者が複雑に絡み合ってめちゃめちゃ面白い映画だ。
以下、「ソウ」シリーズのネタバレがちょっと含まれる。できれば映画を見てから記事を読んでほしいけど、あんまり詳しくは書かないので許してね。
「DbD」にキラーとして参戦している「ピッグ」の正体は、初代ジグソウの弟子にあたる人物「アマンダ」だ。ある理由で彼女自身もジグソウのゲームに参加させられ、なんやかんやで「ソウ3」の後DbDの世界へ誘われた設定になっている(なんやかんやについては、ソウ1〜3を見ましょう。ついでに全部見ましょう)。
DbDのキラーとしてのピッグの能力は2つある。
1つは、しゃがむことで心音を隠して忍び寄り、獣のような唸り声を上げながら突進攻撃すること。これは原作でジグソウがゲームの参加者を拉致するシーンの再現だ。いつの間にか背後に忍び寄っていたブタマスクが参加者を襲うシーンとその効果音で、シリーズを通して何度もでてくるのでかなり印象深い。
「あの唸り声が無ければバレないのに」と思ったプレイヤーも多いことだろうが、唸り声こそが「ソウ」っぽさなのだ。ジグソウごっこにはあの「ガオー」が必要だ。
そして、もう1つが「逆トラバサミ」だ。ゲーム上ではダウンしたサバイバーに取り付けることができ、発電機の修理が完了するとタイマーが起動。制限時間内にジグソウボックスから鍵を見つけられなければ、取り付けられた生存者は顎が裂かれてキルされる。
これも映画に登場するジグソウのゲームの1つで、「特定の条件で起動して制限時間内に鍵を見つけて外さないと死ぬ」点が印象的だ。ソウシリーズを象徴するアイテムでありながら、実は映画ではあのトラップで死んだ人物はあまりいない。
DbDでも「あれは時間稼ぎのアイテムで、あれでキルを狙うのは難しいよね。サバイバーやっててつけられたら焦るけどさ」という印象の人も多いだろう。そこまで含めて、かなり原作を忠実に再現したアイテムだと言える。
前置きが長くなったが、これらを踏まえたり踏まえなかったりしてロマンあふれるピッグのパーク構成を考えてみた。ロマン全振りなので、あまり実用的ではないかもしれないが紹介してみよう。
「逆トラバサミは時間稼ぎにしかならない、あれでキルを狙うのは難しい」。そんなことを先ほど言ってしまった。しかし、ピッグを使っていて「全滅できた時」の次に気持ちがいい瞬間は「逆トラバサミでキルできた瞬間」だ。そうは思わないか。思うだろう。
逆トラバサミでキルできた時の画面に表示される「ゲームオーバー」の表示に、ソウファンである俺はキュンキュンきてしまう。そういうわけで「なんとしても逆トラバサミでキルしたい構成」を考えてみた。
サバイバーが近くにいるかどうかがわかるパーク「囁き」は索敵のほか、逆トラバサミが起動したサバイバーをチェイス判定に入らない程度につけ回すために使う。陰湿だ。陰湿だが、ジグソウは常に特等席でゲームを見ていたいのだ。
「不安の元凶」「苦悶の根源」はジグソウボックスのスキルチェック難易度を上げるためにつける。「ピッグに苦悶の根源? 心音消してボックス触ってるやつを背後から殴るほうがよくない?」と思われるかもしれない。普通に遊ぶならそうだ。
だが、今回の主役はあくまでも「逆トラバサミ」。サバイバーには死のゲームを体験してもらった上で全滅してほしいため、焦りに焦ってもらうためにつける。やられたらわかるが、このコンボは本当に嫌だ。
「デッドロック」は「タイマー起動のために他の人たちには修理してほしいけど、次々と修理されると、それはそれで困るんだよね」という気持ちで装備している。
アドオンの「改造タイマー」「機械部品の箱」でタイマーの制限時間を短くした上で、ボックス1つにかける時間を伸ばす。オファリング「R.P.D.のバッジ」によってステージを悪名高い「ラクーンシティ警察署」にする。
このステージは、めちゃくちゃ広い上に二階層に分かれているため、ジグソウボックス巡りが本当にめんどくさい。最初の1つか2つで解除できなければ、逆トラバサミ解除はかなり絶望的になるのだ。
残り時間わずかでもうボックスを回ることもできなくなったサバイバーの死の間際のヤケクソな行動がたまらない。「ソウ4」以降のジグソウの悪趣味さに近い。
あくまでも全滅を狙ったパーク構成ではなく、「逆トラバサミによるキルを狙った構成」だ。「仲間のために発電機を寸止めするぜ!」みたいな戦術には弱いが、そんな雰囲気を察知したら、普通に殴っては吊るす戦術に切り替えよう。大抵普通に修理してくるようになるので、落ち着いて逆トラバサミ起動チャンスを狙える。
「ソウ」シリーズを見ていて一番興奮するシーン。最後の最後、おなじみのテーマ曲と共に全てが明らかになっていき、絶望するゲームの敗者の元へジグソウが現れて告げる。「ゲームオーバー」と。そして扉をバーーーーーーンと閉める。
マジでかっこいい。ジグソウたるもの、あれをやりたい。扉をバーンと閉じながら勝ち誇りたい。
DbDで「扉をバーンと閉じて勝ち誇る方法」は2種類ある。1つはサバイバーの目の前で脱出用ハッチを閉める時。注釈付きの設計図を使ってハッチ出現位置を固定し、最後の1人になった時に心音を消して先回りしておいて、サバイバーが近づいてきたら「ゲームオーバー!」と宣言しながらバーンとやる。まるでジグソウ気分だ。オファリングを使用した時点でサバイバーにもハッチの位置はバレているので、そこは注意したい。
まぁ、このロールプレイを行うには「3人をキルする」とそこそこハードルが高い条件があるし、これを狙うならこのパーク構成ではなく普通にもっと使いやすいパークを使うべきだ。
もう1つの「扉をバーンと閉じて勝ち誇る方法」は、パーク「血の番人」を使ったものだ。ゲートが開いたら使用可能になり、ゲートエリア内にいるサバイバーのオーラを見ることができる。
そして、その状態でサバイバーをフックに吊るすと、60秒間出口を完全に封鎖することができる。ただしなっっっかなか刺さらない。いわゆるロマンパークだが、発動できたらサバイバーに与える絶望感は凄まじい。
相手がこちらを舐めているほど刺さりやすいパークなので、最後の発電機が修理されるまでは適当にやろう。余裕があれば1人くらいキルしておくと後が楽ではある。最後の発電機が修理された時点で1人ダウンしてる状態を作れると最高だ。その後、サバイバーがなかなかゲートを開けないのなら自分でゲートを開けてもいい。
主役は「血の番人」と「呪術:誰も死から逃れられない」なので、残り2つのパークは別のものをいろいろ試してもいいだろう。「怨恨」などもオススメだ。オファリングは「メメント・モリ」系でもいいかもしれない。気持ちがいいので。
発動のために吊るしたサバイバーを無理やり助けて「与えられた猶予」などでいい気になっているところを閉鎖された出口で全員一網打尽にできると本当に気持ちがいい。
まぁ「ソウ」にそんなシーンはないけれど。
他者のためにどこまで自分を犠牲にできるのか。「ソウ3」以降のシリーズでよく出てくるシチュエーションだ。「Make your choice(決断しろ)」のキメ台詞は映画で何度も出てくるし、ピッグの固有パーク「選択は君次第だ」の英語名でもある。
この固有パークはキラーから32m以上離れたフックからサバイバーが救出されると、救出したサバイバーが60秒間無防備状態(一発でダウンする状態)になる。
他人の命のために自分を危険に晒せるか。「ソウ」らしさを凝縮した素晴らしいパークだ。キラー側でDbDをプレイしていると「めちゃくちゃ仲間思いなサバイバー」に苦い思いをさせられることがしょっちゅうある。そんな仲間思いな行動を逆に利用してやろう。
見ての通り、仲間を助けようとする全ての行為のリスクが跳ね上がるパーク構成だ。どこまで自分を危険に晒して仲間を救うことができるか。あるいは仲間を見捨てて自分だけは生き残るのか。決断しろ。
この構成の問題点は、索敵からダウンを取るまではパークに頼れないこと。自力でがんばるしかない。「強制苦行」や「狂気の根性」は他のパークと入れ替えてもいいかもしれない。
一点突破ではなくて、全てを良い感じに「ソウ」で染める完璧ジグソウなりきりごっこ構成を考えてみた。
「ソウ」らしさに浸ることができる構成だ。この構成のキモはアドオンとオファリングにある。目覚めたら見知らぬ廃工場、頭には謎の機械。完全にソウの世界だ。
脱出のためには発電機を修理しなければならないが、発電機を修理すると装置のタイマーが起動してしまう。かといって装置を外すことを優先すると、いつまで経っても脱出できない。吊られた仲間を助けたら自分が危険に晒される。サバイバーはあらゆる場面で決断を迫られる。
かなりジグソウになりきれる構成でオススメだ。一度やってみてほしい。
これまで紹介してきた構成はあくまでも「『ソウ』ごっこ」「ジグソウごっこ」のための構成だ。ピッグで普通に全滅を狙いたかったらもっとオススメのパークがたくさんあるので、一応それを紹介して終わりにしよう。
まやかし 窓の乗り越えが速くなり、乗り越えた窓をしばらく閉鎖できるパーク。追いかけてダウンさせて逆トラバサミを取り付けないことには話が始まらないので、チェイスの時間短縮のためにあると便利。
不屈 板をぶつけられても少ししかひるまなくなるパーク。ピッグには板周辺をぐるぐる回って時間稼ぎしてくるサバイバーに対して、しゃがみ奇襲攻撃で強制的に板を使わせるテクニックがある。その時に板をぶつけられても、あまりストレスじゃなくなる。
看護婦の使命 近くで治療してるサバイバーが見えるパーク。物陰で治療してるサバイバーに対し、しゃがみ奇襲で殴れると気持ちがいい。
不協和音 複数人で修理している発電機が光るパーク。これも奇襲と相性がいい。また、複数人修理している発電機は大抵すぐ修理が終わるので、逆トラバサミ装着タイミングをはかるのにもいい。
呪術:玩具 吊ったサバイバーが対応するトーテムを破壊するまで忘却状態になるパーク。逆トラバサミの解除だけでも忙しいのに、対応するトーテムを破壊までしなきゃいけなくなる。どちらを先にやるか選択を迫るのが、なかなかジグソウ的。
囁き 特定の範囲内にサバイバーがいるかわかるパーク。ピッグの心音範囲と範囲が同じなので、反応したらしゃがみモードに切り替えるといい。逆に反応していない時はしゃがまなくていい。移動の効率が上がってかなり便利。
さまざまなパークを紹介してきたが、このゲームはかなり頻繁にパークの能力がアップデートで調整されるので、そこは注意してほしい。その時はまた新しいジグソウらしい構成を考えてみてほしい。
君もジグソウになろう。
(文 ナ月/構成 ノオト)