Slack Slackが4つの新機能発表、1クリックで音声会議「ハドルミーティング」など

Slack Slackが4つの新機能発表、1クリックで音声会議「ハドルミーティング」など

 Slack Technologiesは2021年6月30日、Slack上でチームメンバーが簡単に音声会議を始められる新機能「Slack Huddles(Slackハドルミーティング)」を発表した。これまでオフィスの片隅や廊下などで行われていたような、気軽な会話をオンラインで実現する機能だ。

 そのほかにも「動画/音声メッセージの簡易録画/投稿機能」「メッセージの予約送信機能」「Slack上の社員名簿(ディレクトリ)機能」といった新機能が発表されている。

1クリックで簡単にチームメンバーの音声会議をスタートできる新機能「Slack Huddles(Slackハドルミーティング)」

Slack Technologies 共同創業者兼CEOのスチュワート・バターフィールド(Stewart Butterfield)氏、同社 シニアプロダクトマネージャーのジュリー・ヘインズ(Julie Haynes)氏

「同僚のデスクにフラッと立ち寄って話す感覚」のSlackハドルミーティング

 Slackハドルミーティングは、チームメンバー間の音声会議、音声会話が簡単にできる新機能だ。チャンネルやDMから1クリックで会話を始めることができ、同じチャンネル内のメンバーならば誰でも会話に参加できる仕組みになっている。Slack有料プランユーザー向けに提供される。

 そもそもハドルミーティング(Huddle Meeting)とは、アメリカンフットボールの試合中に行われる短い戦略ミーティング(Huddle)に由来する会議スタイルのことである。あらかじめ日程や出席者を決めて会議室を準備するような正式な会議ではなく、オフィスの共有スペースなどで行われる10~30分程度の“軽い打ち合わせ”のイメージだ。

 Slackハドルミーティングは、そうした軽い打ち合わせをオンラインで実現する機能となる。音声のみでメンバーのカメラ映像は表示されないが、画面の共有は可能だ。テキストメッセージとWeb会議の中間に位置づけられるコミュニケーションを目的としている。

Slackのサイドバー下部にあるボタンをクリックすればハドルミーティング開始。カメラ映像は流れないが画面共有はできる

 「正式にアポイントを取って会議を開催するほどではない会話や、テキストで伝えるには複雑すぎるようなテーマを話し合うのに適している」と、Slack シニアプロダクトマネージャーのジュリー・ヘインズ(Julie Haynes)氏は説明する。「オフィスで同僚のデスクにフラッと立ち寄り、話しかけるような」イメージを、Slackで再現したいという。

 Slackハドルミーティングにはライブキャプション(自動字幕)機能があり、聴覚障害者のアクセシビリティにも配慮している。ここでは、昨年パートナーシップを発表したAWSの「Amazon Chime」が備える技術を採用している。現在は英語のみの対応だが、Amazon Chimeがその他の言語対応も進めているため、その進捗に応じて多言語対応が進むことになる。

 同機能のパイロット版はすでに一部顧客向けに提供されている。たとえばDell Technologiesでは、インシデント管理やトラブルシューティングといった場面でこの機能を活用し、レスポンスを改善しているという。また日本ではクックパッドがパイロット導入しており、参加者や目的を特定しない集まりの場として使ったり、会議の代わりに短い打ち合わせを行うこともあるという。

自分のメッセージを動画でSlack投稿、簡易録画機能も追加

 昨年10月の年次イベント「Slack Frontiers 2020」で実験中の新機能として紹介されていた、「動画/音声メッセージの簡易録画/投稿機能」も正式発表された。有料プランユーザー向けの機能で、今後数カ月のうちに順次提供を開始する。

Slack Slackが4つの新機能発表、1クリックで音声会議「ハドルミーティング」など

いつものメッセージ入力欄から1クリックで録画機能が起動、録画したメッセージ動画はすぐに投稿できる

 この機能は、メッセージ入力欄に追加されたカメラボタンをクリックすれば起動する。自分のカメラ映像や画面共有機能を使いながらメッセージを録画し、動画をそのままSlackに投稿できる。全員がオンラインにいないときでも、メッセージやアイディアを録画/録音して投稿しておくことで、「非同期(非リアルタイム)」のコミュニケーションが図れる。通常のテキストメッセージと同じように、投稿された動画/音声にはスレッドでメンバーがコメントすることも可能だ。

 活用例としてヘインズ氏は、「自分が作成したデザインを画面表示しながら、口頭でポイントを説明した動画を共有する」というものを挙げた。なお、こちらでもライブキャプション機能が用意されており、そのキャプションをキーワード検索して動画中の特定のシーンから視聴開始することもできるという。

 ヘインズ氏のチームでも、製品開発サイクルの中でこの機能を利用しており、リモートで分散作業を進める開発チームとデザインチームのコラボレーションを効率化しているという。

メッセージ投稿時間を指定できる機能、組織ディレクトリ機能も

 「Schedule Send(予約送信)」機能は、その名のとおりメッセージの送信時間を指定できる機能だ。メッセージ送信ボタンに追加された矢印をクリックすると、メッセージをいつ送信するかを設定できるようになっている。この機能は、無料プランを含むすべてのユーザー向けに提供される。

 ヘインズ氏は、Slackはそもそも非同期(非リアルタイム)コミュニケーションのツールではあるものの、「メッセージの送信日時が設定できるようになることで、コミュニケーションを始めるタイミングが制御できる」と説明した。

メッセージの送信タイミングを指定できる「Schedule Send(予約送信)」機能

 最後に紹介する新機能が「Slack Atlas」だ。Slack上の社員名簿(組織ディレクトリ)機能で、2020年に買収した従業員名簿アプリ「Rimeto」の統合によって実現したという。

 Slack上で所属する組織の関係がすぐにわかるのがメリットで、「Workday」などの人事/HR SaaSとの連携によって、Slackのユーザープロフィールに詳しい情報を取り込むこともできる。

 Slack Atlasはエンタープライズ向けの拡張機能であり、米国およびカナダの一部Enterprise Gridユーザーと、ビジネスプラスプランでオプトインユーザー向けに提供を開始している。

Slack上でメンバーの詳細なプロフィールや所属組織図などが見られる「Slack Atlas」

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 今回の発表に合わせて開催されたプレスイベントでは、未来の働き方を探るシンクタンクFuture Forumによる最新の調査結果(米、英、仏、独、豪、日本が対象)が紹介された。「フルタイムでのオフィス勤務を望む人」は17%、「フルタイムでのリモートワークを継続したい人」は20%、そして「柔軟に両方の働き方を望むという人」が最多の63%だったという。

 この調査結果について、Slack Technologies 共同創業者兼CEOのスチュワート・バターフィールド氏は、「これからのオフィスのあり方」として、週に何回出社するのかよりも「企業がデジタルツールとテクノロジーを全面的に活用し、物理オフィスと同等の生産性とコラボレーションの実現を支援するソフトウェアを重視する」ことが大切だとコメントした。

 なおSlackによると、日本は世界で2番目に大きな市場となっており、2021会計年度の売上は前年度比76%増加。有料顧客も前年度比で76%増えたという。