“AI”“ドローン”も活用! 農林水産省が推進する「スマート農業」とは?

“AI”“ドローン”も活用! 農林水産省が推進する「スマート農業」とは?

(左から)青山豊久さん、笹川友里

“AI”“ドローン”も活用! 農林水産省が推進する「スマート農業」とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。1月8日(土)の放送は、農林水産省 大臣官房技術総括審議官 兼 農林水産技術会議事務局長の青山豊久(あおやま・とよひさ)さんをゲストに迎え、お届けしました。

◆日本の農業の現状

青山さんは、1965年生まれ岐阜県多治見市出身。東京大学法学部を卒業後、農林水産省へ入省。大臣官房秘書課長など、さまざまな役職を歴任。日本初の棚田オーナー制度の企画や食料・農業・農村基本法の条文作成に携わり、、2021年7月から現職にてスマート農業の推進やみどりの食料システム戦略を担当し、手腕を発揮しています。1988年に同省に入省以降、日本の農業を取り巻く環境は大きく変わり「(当時に比べ)農家を営んでいる方の数は3分の1ぐらいに減っている」と青山さん。高齢化に伴い、「生産者のリタイアが急激に増えている」と現状を語ります。そこで、農林水産省では「ロボットやAI(人工知能)、IoT(自動車や家電のような「モノ」自体をインターネットにつなげ、より便利に活用する試み)などの先端的なデジタル技術を活用し、現場の課題を解決するスマート農業を推進している」と解説。例えば、センサーを活用することで温度や湿度、日照時間、CO2濃度などを把握したり制御することが可能で、なかには太陽光に加えて補助的に人工の光も使って作物を育てる施設栽培用のハウスや、作物を収穫するロボットが開発されるなど、農業の領域でもデジタル技術の活用が進んでいます。さらには、ドローンを活用する事例もあり、「作物の上空を巡回させて映像を撮ることで、その映像をAIが解析し、作物の病気や害虫に食われているかの判定ができる」と青山さん。そして、ドローンは受信したGPSによる位置情報も把握しているため、害虫を駆除するための農薬をピンポイントで散布することで、農薬の使用量を減らすことも可能だそう。デジタル技術の進化は農業の新規参入者にとってメリットも。例えば、「GPSを使った、ロボットトラクターや直進アシスト機能付きの田植え機の登場により、新人でも戦力になる。センサーのデータを共有することが容易になったことで、ベテランの農家の方々がどのように管理しているのか学ぶことができ、新規参入者がつまずかなくなった」と言います。また、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みなど、地球環境問題に対する関心が高まりつつあるなか、農林水産省では2021年5月にみどりの食料システム戦略を打ち出しており、「これからの農林水産業における環境負荷の低減を図っていく」と話しました。

次ページは:◆スマート農業普及に向けての課題最終更新:TOKYO FM+