「ポータブルWi-Fi」レビュー
25/03/2022
今回は、グーグルの最新スマートフォン「Google Pixel 6」シリーズに最適化したワイヤレス充電器「Google Pixel Stand(Gen 2)」をレポートする。高速ワイヤレス充電のほか、Pixel 6シリーズを装着するとスマートディスプレイのような使い方もできるデバイスだ。【写真】初代モデルと第2世代の比較グーグルがPixelシリーズのワイヤレス充電器を発売するのは、Google Pixel 3/3XLのアクセサリーとして2018年に登場した初代のPixel Stand以来。新しい第2世代機も、Pixelシリーズを縦向きにして斜めに立てかけるデザインとした。初代機は2枚の薄いスレートを組んだようなデザインであったが、新しいモデルは本体の高さが約11.4cm。斜めに切った竹筒のようなボックス形状になった。質量は約71g、手に持つと初代機よりは少し重くなった感じがする。設置に必要なフットプリントは、初代機からほぼ変わっていない。パッケージには、30WのUSB PD 3.0対応 電源アダプターに加え、両端がUSB-Cの長さ1.5mの給電用ケーブルを同梱する。■第2世代Pixel Standの「3つの特徴」第2世代のPixel Standには、主に3つの特徴がある。ひとつは、Pixel 6シリーズと組み合わせた時に使える高速ワイヤレス充電機能だ。デバイスは2021年12月中旬に発売されているが、今年の1月下旬に配信されたPixel 6シリーズのソフトウェアップデートをかけると、高速充電に対応する。ふたつめとして、ボックス形状の本体に内蔵する空冷ファンで、充電中に発生する熱を逃がせる構造とした。これにより、Pixel 6シリーズの内蔵バッテリーが過度に熱を帯びることを防いでくれる。最後に3つめの特徴は、Pixel 6シリーズを装着すると、グーグルのNestシリーズのようにスマートスピーカー的な使い方ができることだ。Googleアシスタントと連携するIoTデバイスを音声や画面タッチにより操作したり、設定した起床時間になるとスタンドに乗せたPixel 6シリーズのディスプレイが明るく光って、音声アラームと連携しながら起こしてくれる目覚ましタイマー機能などがある。■ワイヤレスとワイヤード。それぞれの充電方法のメリット今回は第2世代のPixel Standに、6.7インチのPixel 6 Proを組み合わせて試した。スマホを乗せるとまるで一体型のデバイスのように見える。最初にPixel 6シリーズをセットした時に、Pixel Standとの連携により使う充電モードや目覚ましなど各機能の初期セットアップを行う。ここで一度設定した項目は、後から変更もできる。Pixelシリーズを目覚ましアラームやフォトフレームとして使う予定がない場合は、それぞれの項目をスキップしてもいい。第2世代のPixel Standとの組み合わせで、Pixel 6 Proは最大23W、Pixel 6は最大21Wの高速充電に対応している。ワイヤレス充電機能を持つPixel 5、Pixel 4シリーズ、Pixel 3シリーズは最大10Wだ。グーグルが純正アクセサリーとして販売するUSB PD 3.0対応/30WのUSB-C充電器を使えば、有線接続になるものの約30分で最大50%の充電ができる。ワイヤレス充電の場合は、スマホにケースを装着していると充電のスピードが遅くなったり、有線充電よりもチャージにかかる時間がやや長くなる。サードパーティのケースやスマホリングを装着している場合は、そもそもこれを外さないとワイヤレス充電ができない場合がある。手早く充電を済ませるならば、引き続きケーブルを使う手もあるだろう。一方で、Pixel Standを使い始めると、毎度のケーブルの抜き差しが面倒だったことがあらためてよくわかる。第2世代のPixel StandはQi規格によるワイヤレス充電と互換性があり、同じ規格をサポートするデバイスであれば最大15Wのワイヤレス充電ができる。Pixelシリーズに限らず、普段使っている2台目のスマホやワイヤレスイヤホンがワイヤレス充電に対応していれば、それぞれのケーブルを充電器に取っ替え引っ替えしなくても、すべてPixel Standに乗せて充電できる。筆者はPixel Standを導入後から、iPhone 13 ProやAirPodsなど、ワイヤレス充電に対応するイヤホンをこれ1台でチャージしている。とても快適だ。スマートホーム機能/次世代モデルへの要望!■スマートホーム機能で照明の操作もできたPixel 6とPixel Standを組み合わせると使える「最適化モード」は、スマホの充電を使用状況に合わせて最適化して、内蔵バッテリーの劣化を防いでくれる。チャージ速度を「最大」にすると、特に静かな夜間は「サーッ」というファンノイズが鳴ることから、帰宅後に急ぎチャージが必要でない限りは、「最適化モード」をデフォルトの設定にして使う方が正解ではないかと筆者は思う。スマートホーム機能は、グーグル純正のセキュリティカメラ「Google Nest Cam」のほか、Googleアシスタントに対応するIoTデバイスの遠隔操作に対応する。筆者宅に設置しているスマート照明、Philips Hueでこれが使えた。ただ、操作を行う前にPixel Standに載せているスマホのロックを解除しなければならないため、ならばいったんスマホをスタンドから外して、テレビやスマートスピーカーの操作をHomeアプリでやっつけた方が早いのではと思ってしまう。いずれソフトウェアアップデート等で、Android TV搭載のスマートテレビや、Nestシリーズのオーディオも操作できるようにしてほしい。■もっと手軽に買える・使えるPixel Standもほしい第2世代のPixel Standについて、もうひとつ改善を望みたい点がある。それはスマホを横向きに置くと、ワイヤレス充電ができなくなることだ。筆者はキッチンに立って作業をしながら、動画を見る時間を楽しみに生きているので、この瞬間にスマホを充電しながらPixel Standを活用したい。初代のPixel Standは横向きの状態でワイヤレス充電ができたので、第2世代でも同じ使い方ができるようにアップデートで対応してほしい。生活空間のそこかしこで、スマホをワイヤレス充電によりチャージできるエコシステムが広がれば、次第に「スマホのポートレス化」も進むのではないか。スマホがポートレスになれば、プロダクトデザインや防水性能・耐久性能の向上にも、ブレイクスルーがあるかもしれないという興味がわいてくる。ただ一方で、ワイヤレス充電器がないとスマホがチャージできなくなった時に、Pixel Standのように大きな充電器を普段から持ち歩きたくないものだ。特に出張や旅先の時に荷物が大きくなるのは困る。第2世代のPixel Standは価格が9,570円(税込)と、一般的なQiに対応するワイヤレス充電器よりも高価なことから、Pixel 6ユーザーの誰もが気軽に試せない。このことがワイヤレス充電器のエコシステム拡大のボトルネックになるようであれば残念だ。グーグルにはより安価で、ポータビリティの高いPixelシリーズのワイヤレス充電器をラインナップに加えることも、ぜひ検討してもらいたい。
山本 敦