「アレクサをテレワーク用にカスタマイズしてみた!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(56)

「アレクサをテレワーク用にカスタマイズしてみた!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(56)

急遽テレワーク導入!の顛末記

予定も列車遅延もアレクサが通知! さらにIFTTT連携で自動化も…

アマゾンのスマートスピーカー「Amazon Echo」

 電車の経路や天気など、以前は会社を起点にしていた検索が、テレワークが始まってからは自宅中心にシフトしている。また、打ち合わせ先への移動には、会社からより自宅からの方が時間がかかるのだが、先日運行に遅延が出たため遅刻してしまった。

 ……この記事を書いている時点で、4都府県で緊急事態宣言が発出されてから47日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はアマゾンのスマートスピーカー「Amazon Echo」で利用できる、クラウドベースの音声サービス「アレクサ」をテレワーク向けにカスタマイズしてみた。

【今回のハイライト】予定の時間30分前にリマインドしてくれるように普段使っている電車の遅延をお知らせ朝の出勤ルーティンをアレクサで自動化【これまでの経緯】

緊急事態宣言が発令された2020年4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……

【2020年4~8月末までの顛末はこちら】

6月7日(月):ネットの検索条件を自宅起点に変更してみた

 今週に予定している撮影に向けて、スマホにインストールしているアプリ「ウェザーニュース」で天気予報を調べることにした。

 「ウェザーニュース」では「マイ天気」という機能を使い、登録地点の天気予報を最初の画面に表示できる。現在は会社の住所を指定しているが、そろそろ自宅の住所に変更しておいた方が良いだろう。

「ウェザーニュース」の「マイ天気」の登録地点を自宅に変更

 ちなみに、スマホの経路検索には「Yahoo!乗換案内」のアプリを使っているが、こちらの「登録駅」――検索の起点などにワンクリックで指定できる駅には、すでに自宅と職場の最寄り駅を登録している。これで、今後は自宅を起点に、天気や経路を素早く検索できるようになるだろう。

6月8日(火):「Googleカレンダー」の予定をアレクサが声でお知らせ

 今日は午後から打ち合わせのために外出。いつものように、アレクサで天気予報を確認する。週間予報は「ウェザーニュース」などで調べているが、今日の天気を知るだけなら、声で検索できるアレクサの方が簡単だ。

「アレクサ、今日の天気は」と予報を確認

「アレクサをテレワーク用にカスタマイズしてみた!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(56)

 会社ではスピーカーをオフにしていたが、自宅なら仕事に“音”を取り入れることができる。実際、着信音を鳴らすだけでも、メールを確認する手間が減ったので、もっとアレクサを活用していくべきかもしれない。

 仕事にアレクサを活用となると、まず思いつくのが「Googleカレンダー」との連携だ。このカレンダーは会社で使っているグループウェアの「サイボウズOffice」と同期させているので、「今日の予定」などと話しかけると、1日のタスクが声で確認できるようになる。

スマホでアプリ「Amazon Alexa」を起動し、「その他」→「設定」→「カレンダー」と操作すると、アレクサがGoogleカレンダーの予定を利用できるようになる

 もちろん、声でカレンダーに予定を登録することも可能。「カレンダーの通知」のオプションを有効にしておけば、「カレンダーによると、今から30分後に●●●が予定されています」などと、アレクサに声でリマインドさせることもできる。

 先日、同僚がサイボウズOfficeに“関係メンバー全員参加の会議の予定”を登録したことがあったが、作業に集中していたため、その連絡メールを見過ごしたことがあった。アレクサがリマインドしてくれたら、そんな失敗も減らすことができそうだ。

6月9日(水):電車の遅延と雨の予報をアレクサに通知させてみた

アプリ「Amazon Alexa」で「その他」→「スキル・ゲーム」と操作すると、新たなスキルの検索や、有効なスキルの設定ができる

 とある案件の撮影のため、明日は朝から外出することに。遅刻は絶対に許されないので、アレクサにスキル「Yahoo!路線」を登録することにした。

 その上で、ブラウザーで「Yahoo!路線情報」を開き、リンクさせたYahoo! JAPAN IDでログイン。「運行情報用路線登録」で、利用する路線を登録しておく。これで、もし電車に遅延が発生しても、アレクサが通知してくれるので安心だ。

「Yahoo!路線情報」で「マイページ・各種設定・確認」→「登録路線」と操作すると、利用する路線を登録できる

 さらに、スキル「Yahoo!天気・災害」を登録し、こちらもブラウザーでサービスのサイトを開き、「パーソナル天気」に自宅の住所を登録。こうすることで、その日の予報が雨の場合、アレクサが通知を出してくれる。

「Yahoo!天気・災害」で住所をキーワードに天気を検索。表示された画面で「パーソナル天気に追加」ボタンをクリックする

 なお、Amazon Echoには「おやすみモード」という機能があり、設定した時間内は通知を無効にすることができる。「Yahoo!路線」は朝の6時~8時、「Yahoo!天気・災害」は朝の7時に通知を出すので、「おやすみモード」の終了時間は朝の6時にセットした。朝起きたタイミングで天気と列車の遅延が分かっていれば、遅刻などを事前に防ぐことができるだろう。

「デバイス」から設定を行うAmazon Echoを選択。「一般」にある「おやすみモード」から時間を指定できる

 ちなみに、自宅では部屋とリビングにAmazon Echoを設置し、「呼びかけ」機能を使った「ご飯できたよー」などと家族と会話している。ただ、通知が入っているAmazon Echoでは「呼びかけ」に応じることができないので、朝起きたらまず通知を確認する癖がついた。これはこれでフローとしては正しいので、しばらくこのまま使い続けることにしよう。

6月11日(金):予定の確認と朝の挨拶を「定型アクション」で自動化!

 今日も朝から自宅でテレワーク。サイボウズOfficeでタイムカードを押した後、「スケジュール」で1日の予定を確認。さらに、会社で使っているLINEのグループトークに、朝の挨拶のメッセージを流す。

 そこで、「あっ、この操作は自動化できるな」と思いついた。というのも、アレクサには「定型アクション」という機能があり、複数の操作を1つの音声コマンドで実行できるのだ。今回は出勤時の操作になるので、実行条件を「音声」の「アレクサ、出勤」と設定。これに連動して、「カレンダー」で「今日の予定」を読み上げるアクションをセットした。

アプリ「Amazon Alexa」で「その他」→「定型アクション」と操作。「+」ボタンをタップする定型アクション名を入力し、実行条件に「音声」→「アレクサ、出勤」と設定

 一方、LINEにメッセージを送るアクションについては、「IFTTT」(イフト)を利用する。これは、「アレクサで●●」したら、「LINEで▲▲」するというように、Webサービスを連携させることで、指定のアクションを自動で実行させるサービスだ。

 IFTTTには既にアカウントを持っていたが、アレクサとLINEを利用するには、両サービスをIFTTTと連携させる必要がある。なので、まずはIFTTTアプリで「Amazon Alexa」「LINE」を検索し、「Connect」をタップしてアカウント情報を登録。これで、IFTTTで自宅のAmazon Echoをトリガーに、LINEを自動で操作できるようになった。

IFTTTアプリのトップ画面で「Explore」をタップ。検索ボックスにサービス名を入力し、表示されたサービスのアイコンをタップするサービスの画面が表示されたら、「Connect」をタップして、Amazon EchoとLINEのアカウント情報を入力IFTTTアプリのトップ画面で「Create」をタップ。「If This」で「Amazon Alexa」を選択するトリガーに「Say a specific phrase」を選び、「phrase」を入力。今回は「出勤」を登録した続けて「Then That」→「LINE」→「Send message」と操作。「Recipient」に会社のグループチャットを、「Message」に送信するメッセージを入力するこれで、Amazon Echoをトリガーに、LINEにメッセージを送るフローが完成!

 あとは、「アレクサに出勤と言ったら、LINEのグループチャットに『おはようございます』とメッセージを送る」というフローを設定。定型アクションの「アクション」に、これを追加すれば作業は完了だ。

先ほど操作していた定型アクションの「アクションを追加」で「カレンダー」→「今日の予定」、「IFTTT」→「出勤」とそれぞれ設定する

 この後、実際にアレクサに「出勤」と話しかけたところ、Googleカレンダーに登録された今日の予定を読み上げた上で、LINEのグループチャットにメッセージを送ることができた。ただ、グループチャットには「LINE Notify」というアカウントからメッセージが送られるため、このアカウントをグループに登録する必要がある。さらに、誰が送ったか分かるように、送信メッセージに名前を入れておく必要があるだろう。

「LINE Notify」というアカウントから、先ほど登録したメッセージが送られた

 ここまで、アレクサと1週間向き合ってきたが、自宅で仕事をするなら、特に音声リマインドの機能は絶対にあった方が良い。朝に1日の予定を確認したうえで、随時音声でリマインドされることで、しっかりとスケジュールが頭にインプットされた。おかげでサイボウズOfficeを見て予定をいちいち確認しなくても、1件1件のタスクが漏れなくこなせている。

 随分昔にiPhoneのSiriのような音声アシスタントが「秘書」や「コンシェルジュ」と呼ばれていたが、今アレクサがやってくれていることは、まさにそれに通じるものがある。間違いなく省力化につながるので、自宅にスマートスピーカーがある人は、ぜひテレワーク用にカスタマイズするのをオススメしたい。

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飛田九十九