「自分で作るホームオートメーション」、エンジニア視点で使ってみた!

「自分で作るホームオートメーション」、エンジニア視点で使ってみた!

今のホームオートメーションはどこまで「遊べる」か?

本格的なHA環境を構築できる「CL-System」と今回利用した「ThinkPad X230」。緑色の機材が「リレーターミナル」、ノートPC左隣の機材が「コントローラー」(試作品)。コントローラーは9月4日に発売されたばかり。

 最近はAmazon EchoやGoogle Homeといったスマートスピーカーと連携してON/OFFをコントロールできる「スマートホーム」機器が普及の兆しを見せている。

 しかし、IT技術に詳しい人であれば、ちょっとした欠点も気づいてしまうだろう。

 まず、基本的にメーカーが異なれば相互接続性がない。特定のメーカーのスマートホーム機器を一度購入すれば、機器をそのメーカーで統一しなければならない。他社から魅力的なデバイスが発売されても、それを接続することはできない。いわゆる“ベンダーロックイン”と呼ばれる問題だ。

 ベンダーロックインは「製品の選択肢が狭まる」だけの問題ではなく、「メーカー都合で製品のサポートが停止してしまう」なんてこともある。頑張ってセットアップしたスマートホーム機器が数年で使えなくなり、他社製に買い替えなくてはならなくなるのは正直つらい。

CL-Systemを導入した川畑眼科医院クリティカ取締役の川畑善之氏。氏の熱い思いは、前後編のインタビュー記事で熱く語っていただいた。

「自分で作るホームオートメーション」、エンジニア視点で使ってみた!

前編:「ないものは作ってしまえ!」自力で診療所をホームオートメーション化した“マニア”は何を目指すのか後編:「技術は知名度ではなく“内容”で選んだ、だからコミュニティを作りたい」

 また、「システムがブラックボックスで、自分でトラブルを解決しにくい」というのも気になるだろう。また、「お仕着せで用意された範囲内なら、さまざまな機能を手軽に実現できるが、ちょっとでもそれを超えることはできない」なんてことも、もどかしい。少し手を入れて改良したくても、そうはいかないのだ。

 さらに、基本的に家庭向けのため、エアコンや照明を大量に管理する事業所などに導入するには若干非力なのも気になる。とはいえ、事業所向けの高信頼性システムは非常に高価で、導入のハードルが非常に高い。

 こうした問題に取り組んでいるのが、クラウドや特定企業に依存しない、真に自由なホームオートメーション(HA)を目指すスタートアップ、クリティカだ。

 同社については、既にインタビュー記事を掲載している(前編 / 後編)が、クリティカのHAソリューション「CL-System」は、HA向きのオープンな技術である「MQTT」プロトコルや「OpenHAB 2」、そして「M5Stack」といった入手性の高いデバイスをベースとしたもの。

 多少、学習する必要はあるものの、わかってしまえば「スマートホーム」ソリューションを独自に構築したり、センサーやデバイスを連携させて処理を自動化する「ホームオートメーション」を比較的安価に構築できる。

 そこで今回は、「技術に興味がある人」向けに、CL-Systemの導入法を解説してみたい。コマンドラインでの操作に抵抗がなく、また、「新しいプロトコルや概念を理解したい」「IoT機器の内部を知ってみたい」という人向けに書いてみたので、気になる方はぜひ一読してほしい。

「CL-System」のシステム構成

【記事の目次】

●システム設定はIT技術者に、電気工事は電気工事士に! ●「MQTT」プロトコルを理解する ●MQTTクライアントから操作する ●「OpenHAB2」から操作できるようにする ●OpenHAB2を活用すると、何ができるのか? ●Google HomeやHue、IKEAやマインクラフト、「Tesla」も… ●オープン技術を活用した、「安価に遊べるホームオートメーション」