「ないものは作ってしまえ!」自力で診療所をホームオートメーション化した“マニア”は何を目指すのか(前編)

「ないものは作ってしまえ!」自力で診療所をホームオートメーション化した“マニア”は何を目指すのか(前編)

「ないものは作ってしまえ!」

ホームオートメーション機器を“自作”したという鹿児島の眼科を訪問した

 例えば皆さんが自宅をスマートホーム化しようとすれば、とりあえず有名メーカーの既製品で実現しようと考えるだろう。スマートライトやスマートロック、赤外線リモコンユニットなどをホームネットワークにつながるようにして、あとは専用のスイッチやスマートフォンアプリを連携するだけ。実に簡単だ。

「ないものは作ってしまえ!」自力で診療所をホームオートメーション化した“マニア”は何を目指すのか(前編)

 しかし簡単な分、できることにも限りがある。自分の理想とする用途には物足りないところがあって「もっとこうしたい」と思っても、実現するには手間が掛かりすぎるか、そもそも不可能だったりする。その製品でできること、できないことを把握した上で、できないことは妥協する。それが一般的な感覚のはずだ。

 「できないのであれば自分で作ってしまえばいい」と考える人もいるかもしれない。ちょっとしたスクリプトやプログラムを組むことで解決できる程度ならチャレンジしがいもある。だが、ソフトウェアもハードウェアも理想のものがないからといって、「じゃあ全部作ってしまえ」と突っ走る人は、まれだろう。ましてや個人でホームオートメーション(HA)という大きなシステムを作るとなると……。

 そんな「じゃあ全部作ってしまえ」という軽そうなノリで、自身の経営する診療所を丸ごと自力でHA化した猛者が現れた。しかも「せっかく作るなら売れるものにしよう」ということで、2019年6月頃からの一般販売も視野に入れているのだとか。一体どんなシステムを構築したのだろう。今回はその診療所にお邪魔して、現地で見たHAシステムの全容をお伝えしたい。