Sound Blaster 30周年! 最新製品をオーディオ専門家の藤本氏がモデル兼ゲーマーの黒田さんと検証

Sound Blaster 30周年! 最新製品をオーディオ専門家の藤本氏がモデル兼ゲーマーの黒田さんと検証

8bitモノラルサウンドからはじまったSound Blaster

初代Sound Blaster(出典Creative Technology)

 Sound Blasterの最初のバージョン、その名もSound Blasterが誕生したのは1989年。当時のPC、いわゆるIBM PC/AT互換機のISAバスに接続するSound Blasterは8bitのモノラルで音を出すという、いまから考えれば本当に原始的なサウンドカードとして登場したものだった。

 実は同社のサウンドカードとしては、その前身となるCreative Music Systemなるものが1987年に発売されていたが、当時存在していたAd LibのFM音源機能とも互換性を持たせるかたちで誕生したSound Blasterは、その後、世界中に波及し、まさにサウンドカードのデファクトスタンダードへと成長していったのだ。

 そうした30年の歴史についてはクリエイティブのサイトに掲載されているので参照していただきたい。古くからのPCユーザーには、「Sound Blaster AWE32」、「Sound Blaster Live!」など、懐かしい製品が目白押しだ。

Sound Blaster AWE32(出典Creative Technology)Sound Blaster Live!(出典Creative Technology)

Sound Blaster 30周年! 最新製品をオーディオ専門家の藤本氏がモデル兼ゲーマーの黒田さんと検証

 筆者が最初にSound Blasterを購入したのは1992年暮れだった。当時のPCというと、まだNECのPC-9801シリーズが国内で圧倒的な地位を占めていたが、IBM PC/AT互換機で日本語表示をさせるDOS/Vが少しずつ話題になりだしていたころ。そこにWindows 3でオーディオが扱えるようにするWindows 3.0 MMEなるものが登場したことで、今後、日本もAT互換機=DOS/Vマシンに変わっていくと確信し、初めてDOS/Vマシンを購入すると同時に、Sound Blaster Pro 2を購入したのだ。このSound Blaster Pro 2、今も手元に残っているが、当時購入したものは、このSound Blaster Pro 2をコアにしたマルチメディアキットなるものだった。

筆者のSound Blaster Pro 2

 というのも当時のPCには、音の入出力の機能は一切なく、USB端子などが誕生するはるか以前で、拡張性も乏しい時代。標準ではストレージはFDDしか搭載されておらず、そのころ大きな話題になってきていたCD-ROMも扱えないものだった。

 しかし、Sound Blasterのマルチメディアキットは3万円程度の価格ながら、FM音源の音を出せるSound Blasterに加えて、CD-ROMドライブもセットになっていたのだ。そう、当時CD-ROMを使うには別途SCSIカードなどのインターフェイスが必要だったが、Sound BlasterにはCD-ROMインターフェイスととともに、ジョイスティックポートも装備。そのジョイスティックに付属のケーブルを使うことで、RolandのMIDIインターフェイス互換としても利用できたのだ。

 そして何より、デジタルでオーディオの入出力ができるPCM機能が搭載された夢のような機材だった。今でこそ、PCでオーディオが扱えるのは当たり前だが、そうしたことが可能になったのは30年前のSound Blasterからスタートしていたのだ。

 その後、Sound Blasterは、より音質を向上させ、CDと同等の16bitオーディオが扱えるSound Blaster 16へと進化。さらにサンプリングシンセサイザの代名詞ともいわれたE-mu Systems、Ensoniqを傘下に収めると同時に、1998年にE-muの機能をより発展させて、Sound Blasterに搭載したSound Blaster Live!を発売し、PCオーディオの世界において圧倒的な地位を築いたのだった。

 当時、筆者もインプレスの関連会社であるリットーミュージックから「サウンドブラスターLive!音楽的活用マニュアル」なんて本を出版したりもしたが、昔話はこのくらいにして、話を現代に戻そう。

Sound Blaster 16(出典Creative Technology)Sound Blaster Live!とサウンドブラスターLive!音楽的活用マニュアル