「ポータブルWi-Fi」レビュー
25/03/2022
今回取りあげるDSD対応のUSB DACはティアックのUD-501(11万円/実売99,800円)、コルグのDS-DAC-10(オープンプライス/実売54,780円)、ラトックシステムのRAL-DSDHA1(72,000円/実売59,800円)。ラトックシステムでは、バランス駆動のヘッドフォン出力を備えた上位版のRAL-DSDHA2(標準価格120,000円/実売99,800円)という製品も出ているが、今回使ったのは、RAL-DSDHA1のほうだ。
ティアックのUD-501コルグのDS-DAC-10ラトックシステムのRAL-DSDHA1左からUD-501、DS-DAC-10、RAL-DSDHA1まず、3つの製品を並べてみたので、その大きさの違いを確認いただきたい。明らかに大きいUD-501とコンパクトなDS-DAC-10およびRAL-DSDHA1という感じだろうか。もっともUD-501だけは、単にPC用のUSB DACというわけではなく、オプティカルおよびコアキシャルのS/PDIF入力に対応したDACとしても機能するもので、出力もRCAのラインアウトのほかに、XLRの出力も備えた格上の製品といった感じではある。
では、それぞれをスペックで比較してみるとどうだろうか? そもそも、どの項目を比較するのがいいのかが分からないが、主にDSDに関する部分のみを抜き出して並べてみた。同じ国産のDSD対応USB DACとはいえ、こうみると、大きさや値段だけでなく、それぞれの製品で結構違いがあるのがわかるだろう。
TEAC UD-501 | KORG DS-DAC-10 | RATOC RAL-DSDH1 | |
---|---|---|---|
DSD64(2.8224MHz) | ○ | ○ | ○ |
DSD128(5.6448MHz) | ○ | ○ | × |
DoP対応 | ○ | × | ○ |
ASIO(DSD)対応 | ○ | ○ | × |
電源 | AC100V | USB電源供給 | ACアダプタ |
付属プレーヤーソフト | TEAC HR Audio Player | AudioGate | × |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 290×244×81.2mm | 120×150×48mm | 133×167×43mm |
重量 | 4.0kg | 530g | 615g |
標準価格 | 110,000円 | オープンプライス | 72,000円 |
実売価格 | 99,800円 | 54,780円 | 59,800円 |
いずれの製品もDSD64、つまり2.8224MHzのデータの再生には対応しているが、5.6448MHzのDSD128に対応しているのは、UD-501とDS-DAC-10に絞られる。まあ、DSD128のデータなど、現状ほとんどないので、あまり気にするほどの違いではないかもしれないが、選択のためのひとつのポイントではある。
一方、PCでDSDを扱うに当たって、非常に難しいのがドライバを含めた再生の仕組み部分だ。ご存知のとおりDSDはPCMとはまったく考え方の異なる方式であるため、これをPCに扱わせるのはトリックが必要となる。現在、大きく2通りの方法があるが、そのひとつはDTMではお馴染みのASIOドライバを利用するという方法で、これが安全で確実な方法ともいえる。
ASIOはドイツのSteinbergが開発したオーディオドライバの規格で、最近はPCオーディオのユーザーからも支持されているものだが、2005年にASIO 2.1にアップデートされた際に、DSDに対応するようになったのだ。もっとも、当時DSDに対応したのはソニーのVAIOだけであり、つい最近までその状況が続いていたが、最近になってこれに対応する機器が増えてきているのだ。今回の3機種のうち、RAL-DSDHA1のみが非対応となっているが、実はPCMにおいてはRAL-DSDHA1もASIO対応しているので、アプリケーション側からはASIOドライバが見える。ただし、DSDネイティブには対応していないので、UD-501やDS-DAC-10とは別モノなのだ。
もうひとつはDoP=「DSD Audio over PCM Frames」という方式を使う方法。以前はdCSとかPlayback Designといった会社がそれぞれPCMの仕組みを利用して、DSDをダマして流す方法を開発していたが、両者が合意してまとまったのがDoPというもの。以前、コルグにインタビューした際、「DoPは何かトラブルがあると、機器にダメージを与える可能性もある」という話をしていたが、そうした観点からコルグだけはDoP非対応となっている。