五輪で噴出した「サブチャンネル最悪」の誤解 「全録レコーダー」利用時には注意が必要だった

五輪で噴出した「サブチャンネル最悪」の誤解 「全録レコーダー」利用時には注意が必要だった

「サブチャンネルって最悪ですね。画質悪すぎてビックリしました」

東京五輪の放送を観ている知人からそんな声が届いて、なるほど自分の考えをあらためるべきかもしれないと感じた。調べてみると、同じような感想を持っている人は少なくないようだ。

一方、筆者は「サブチャンネルを運用してくれてありがとう」という気持ちになっていたのだから対照的だ。というのもデジタル放送以前ならば、中継途中にニュースの時間が挿入されていたからだ。

アナログ放送時代は1つのチャンネル(放送に利用できる電波帯域)には、1つの番組しか送出できなかったが、デジタル放送ではデータ送出を「セグメント」という単位で管理しており、分割して活用することが可能になっている。

五輪で噴出した「サブチャンネル最悪」の誤解 「全録レコーダー」利用時には注意が必要だった

つまり、サブチャンネルという機能が存在するからこそ、生放送で五輪競技を観続けることができたのだ。

サブチャンネルの画質が悪い理由

さて、ではどのぐらい画質が落ちるのかだが、地上デジタル放送の場合、1440×1080画素の映像を12セグメントで放送している。この一部をサブチャンネルに割り当てることで、本来予定していた放送をそのまま放映しつつ、生の五輪中継も継続できる。

どのように分割し、どのぐらいの画質で送出するかは選択も可能だが、五輪放送の場合、サブチャンネルは標準解像度(720×480画素)に設定されていた。これはハイビジョンになる以前の解像度に相当し、数字のうえではDVDと同等だが、厳密には映像形式やデジタル符号化のプロセスが異なるためDVDよりも少し落ちる程度の画質と考えていい。

50インチ以上の大型テレビで視聴しているならば、この解像度の差は大きく感じるだろう。

サブチャンネルはBSデジタル放送が始まって以来、日本のデジタル放送で利用されてきた20年以上の歴史がある機能だが、民放では編成の都合なのか、あるいはスポンサーとの兼ね合いなのか、あまり活用されてこなかった。

NHKは比較的この機能をよく使っていたものの、あまり一般には馴染みがなかったのかもしれない。東京五輪でのサブチャンネル活用も、当初はアナウンスが入るだけだったが、問い合わせが多かったのか、サブチャンネルへと生中継が切り替わった際に、チャンネルをどう切り替えるのか、視聴方法を積極的に案内するようになっている。