日本HP「Officejet 150 Mobile AiO」

日本HP「Officejet 150 Mobile AiO」

モバイルオールインワン

 同社複合機のラインナップは「Deskjet」、「Photosmart」、「ENVY」、「Officejet」、「Officejet Pro」……と、(現在欠番もあるようだが)かなり豊富だ。名前の通りOfficejetとOfficejet Proがビジネス用、その他が家庭用と分かれている。もちろんOfficejet系でも用途と機能がマッチすれば、家庭で使っても問題無く、実際筆者はデジタルFAX目当てで「Officejet Pro 8500A Plus」を利用中だ。受信したFAXを自動的に任意のメールアドレスへTIFFとして送信する機能があり重宝している。

 そんな中、他とは明らかに違うコンセプトの複合機、「Officejet 150 Mobile AiO」が11月から国内で発売開始となった。バッテリ駆動可能なちょっと変わった複合機だ。複合機として“世界初のモバイルオールインワン”を謳っている。主な仕様は以下の通り。

HP「Officejet 150 Mobile AiO」の仕様
インクシステムオンデマンド型サーマル・インクジェット/4色または6色交換式インク、K:顔料系672ノズル、CMY:染料系600ノズル(フォト:染料系600ノズル)、最高4,800×1,200dpi
印刷速度ISOモノクロ約5ppm、カラー約3.5ppm
CISセンサー光学解像度600×600dpi、階調最大24bit、ADF最大216×356mm
給紙トレイ普通紙50枚、フォト用紙5枚、封筒3枚
ADF普通紙(64~90g/平方m)単票のみ、サイズA4/B5/レター/リーガル
液晶2.36型カラータッチスクリーン
インターフェイスUSB 2.0×1、Bluetooth 2.0(プリント機能のみ)、PictBridge、SDカード(SDHC対応、miniSD/microSD対応にはアダプタが必要)/MMC(マルチメディアカード)スロット、USBポート×1
サイズ/重量350×171×90mm(幅×奥行き×高さ)/2.9kg(バッテリ無し)、3.1kg(バッテリ付き)
価格36,960円(HP Directplus)

 インクは黒が水などに強く普通紙でもにじまない顔料系、CMYは発色の良い染料系が使われている。基本は4色だがオプションで写真用の6色に変更出来るのも嬉しいポイントだ。印刷速度はモノクロで約5ppm、カラーで約3.5ppm。ものすごく速いわけではないものの、十分実用範囲になっている。給紙トレイは背面のみ。最大普通紙で50枚、フォト用紙で5枚、封筒で3枚セット可能だ。

 スキャナ部はCISセンサー光学解像度600×600dpi/階調最大24bit。ADFは普通紙(64~90g/平方m)単票のみ、サイズA4/B5/レター/リーガルに対応している。多くの複合機は1,200dpi以上のものが多く、600dpiは少々低めだが、書類のコピーなど用途を考えれば特に困ることは無いと思われる。

 操作系は、2.36型カラータッチスクリーン。コンパクトにまとめるため、収納時は後ろにパネルが倒れている。各機能アイコンに加え[ホーム]、[戻る]、[?/×]、[</>]のボタンだけで、マニュアルいらずの簡単操作が可能だ。

日本HP「Officejet 150 Mobile AiO」

 インターフェイスは、USBが2ポート。片方はメディア用だ。Bluetooth 2.0とSDカードスロットも搭載する。Bluetooth接続時はプリンタ機能のみでスキャン機能は使えない(プロファイルはHCRP/BIP/OPP/SPPに対応)。またWi-Fiには未対応となっている。

 便利な機能としては「インクバックアップ印刷機能」があげられる。インク切れになった時、例えば黒が無い時はカラー合成で代用、カラーが無い場合は、グレースケールで印刷し、何も印刷できない状態を回避可能だ。

 そして最大の特徴は、バッテリ駆動で最大約500枚の印刷が可能なこと。もちろんバッテリはオプションではなく標準で同梱されている。今回バッテリ駆動ベンチマークテストは行なっていないが、試用中はスキャン・コピーも含め、ほとんどバッテリ駆動のみで評価できた(最後1時間程度だけ充電しつつAC駆動を行なった)。

 サイズは350×171×90mm(幅×奥行き×高さ)。重量は2.9kg(バッテリ無し)、3.1kg(バッテリ付き)となる。A4機なのである程度の大きさが必要なのは仕方ないところ。重量は、モバイルPCの約2台分だ。ハンドキャリーは大変なので、車などでの移動が主となるだろうか。

 価格は36,960円。他のOfficejet系と比較すると少し高めだが、何より複合機をバッテリ駆動でき、これが必要なユーザーにとっては最大の魅力となるだろう。

フロント。この状態で高さ約9cmとコンパクトリア。メディア用のUSBコネクタ、PC接続用のUSB Type Bコネクタ、電源コネクタ。中央の長い凹にバッテリが入るトップカバーを開けたところ。この状態はまだ液晶ディスプレイなどがあるパネルは収納されている状態。左側奥の凹はSDカードスロットバッテリは約20cmで長細い。ACアダプタは約100×45×30mm(幅×奥行き×高さ)。コネクタはミッキータイプバッテリを装着したところ。凹の両サイドに爪を引っ掛けるような部分があり、そこへバッテリを装着するインク部。Kの顔料系と、CMYの染料系のタンクが見えるタッチパネルと各種インジケータ。プリント/スキャン/コピー/Bluetoothのインジケータと、右側にタッチパネル式の液晶ディスプレイ

 筐体はシルバーとブラックの2色がうまく使われ、仕事はもちろん家庭で使ってもマッチする。たださすがに約3kgは重く、携帯可能と言っても持ち上げるとズッシリ重い。全体の強度は、普段持ち運ぶには十分と言ったところだ。

 前面は排紙用のパネルのみ。背面は、メディア用のUSBコネクタ、PC接続用のUSB コネクタ、そして電源入力となっている。中央にある長細い凹みはバッテリ装着場所だ。左右に爪のようなものがあり、それで固定する仕掛けだ。

 左側面奥にはSDカードスロットがある。操作性を考えると、メディア用のUSBコネクタは正面もしくはどちらかのサイドに欲しかった。ACアダプタは約100×45×30mm(幅×奥行き×高さ)とそれなりにコンパクトだ。同社によると、自社のノートPCと同じ仕様を採用することで、外出時はACアダプタ1つ荷物を減らすことができるそうだ。

 トップパネルを開くと、パネル自体が給紙トレイとなっている。またこの状態では操作パネルは後ろ側に倒れており、使用時は起こす必要がある(冒頭の写真が操作パネルを起したところ)。手前シルバーの部分はさらにパネルになっており、開けるとインクカートリッジにアクセスできる。全体的に限られたスペースでうまくまとまっており、先のUSBポートの場所以外は特に不満点は無い。

 起動時間は約30秒。この時面白い仕掛けがあって、フロントの排紙用パネルが自動的に開く。また操作パネルが倒れたままだと、起すようにディスプレイにアニメーションが表示される。ちょっとしたことだが、「お!」っと思わせるギミックだ。

 作動音や振動などは、以降に掲載している動画を参考にして欲しい。録音レベルが高めなので、少し煩いように感じられるが、実際はまあまあ静かだ。振動はそれなりに抑えられており、テーブルが左右に揺れることなく駆動する。