信号と連動して道路を横断。エレベーターで別フロアに配達。竹芝で進む配送ロボット実証実験

信号と連動して道路を横断。エレベーターで別フロアに配達。竹芝で進む配送ロボット実証実験

ソフトバンク本社がある竹芝エリアでは、スマートシティの実現に向け、最先端のテクノロジーを活用したロボットに関するさまざまな取り組みがされています。

今回は、屋外で信号機情報と連携して荷物を配送するロボットと、屋内でエレベーターのシステムと連携してコンビニの商品を配送するロボットについて、実証実験の様子をご紹介します。

ロボットが信号機情報に従って横断歩道を渡ることに、日本で初めて成功

2021年5月に行われた、ソフトバンクが開発した自動走行ロボットのデモンストレーションの模様をご紹介します。

ソフトバンク本社ビル周辺の公道約125mが走行ルートです。荷物を載せたロボットが本社ビルを出発し、途中で横断歩道を渡り配送先に到着するまでを実験しました。

出発したロボットがスムーズに動き出しました。実験は公道で行われているため、走行ルート上には一般の歩行者や車両もいます。

歩道の端から1.5m程度の距離を保ちながら、植え込みや点字ブロックを避けて進みます。ロボットにはLiDAR(Light Detection And Ranging)※1と呼ばれる自動運転に用いられるセンサーやカメラが複数搭載されていて、歩行者や障害物を検知して減速・停止する、信号機の青、赤のタイミングと連動して進む、停まるが制御されています。

最高時速3.6kmで歩道を進んだロボットは、横断歩道の前で一旦停止します。信号機から青、赤の灯色情報がロボットに送信され、青になるとロボットが進み出す仕組みです。

信号と連動して道路を横断。エレベーターで別フロアに配達。竹芝で進む配送ロボット実証実験

無事、横断歩道を渡り終えて予め指定された目的地に到着!荷物を配達しました。

自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業

ソフトバンクと佐川急便株式会社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」の実施者として、竹芝エリアにおいて自動走行ロボットによる屋外配送の実証実験を2020年12月より実施しています。

近年の物流業界における宅配便の取扱量増加による人手不足や、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から接触機会削減などの課題の解決に向けて、自動走行ロボットによる非対面・非接触での配送サービスの実現を目指しています。

NEDOの「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」の実施者に選定~竹芝エリアで自動走行ロボットによる配送サービスの実現に向けた実証実験を開始~

実証実験を担当したソフトバンクの担当者に、今回の成果と今後の取り組みについて聞きました。

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット

Chief Scientist室 AIロボット開発課 課長

古谷 智彦(ふるたに・ともひこ)

「今回は信号機と連携した実証実験に成功しましたが、法制度、技術的な面で改善の余地があり、実用化に向けてはもう少し時間がかかります。

一方で、警察庁の交通ルールに関する検討会の中間報告書※2では、今回の実証実験で使用したロボットが『歩道通行車』として定義されるなど、社会が自動走行ロボットを受け入れる準備が進んでいます。どんなに技術が進歩してもロボットだけでは安全性を確保できません。今後も社会にロボットの必要性が認知され、受容されていくことが大切です。

今後の技術的な課題は、遠隔監視の実現です。ロボットによる自動配送をビジネスとして提供するには、一人の監視者が遠隔地から複数台のロボットを監視する1:N遠隔監視が必須とされ、実現のためには安定した通信と十分な帯域が必要です。

通信会社にとってはチャレンジングですが、ビジネスチャンスともなり得ます。今の実証・開発環境はLTE通信ですが、5Gの広帯域、低遅延のメリットが出る分野でもあり、5Gエリアである本社エリアを活用して、引き続き実証実験をしていきます」