「ポータブルWi-Fi」レビュー
25/03/2022
雨後の竹の子すぎて、わかりにくいですよね。
スマートスピーカーにスマートホームハブ、スマート電球などなど、スマートホームなるものを実現するためのガジェットがこの何年かで一気にメインストリームに進出してきました。でもあんまりいっぺんに出てきたんで、そもそもどういうジャンルのものがあって、それは今の自分に必要なものなのか、ジャンルごとにどの商品が良さげのか、把握するのも大変です。
そこで米GizmodoのAndrew Liszewski記者が、主要なスマートホーム実現ガジェットをジャンルごとに取り上げつつ、そのガジェットはどんな人向けなのか、中でもオススメは何かをまとめてくれました。一部米国のみのものもあったので、日本の情報もちょこっと補足しています。
・どんな人が使う?
Wi-Fi自体はスマートホーム以前からずっと使われてますが、スマートスピーカーやら電子レンジやら掃除機やらあらゆるものがWi-Fiにつながるようになった今、これまでみたいに気まぐれじゃなく、いつも期待通りにつながってほしいもんだとみんなが願っています。でも2階建て、3階建ての大きな家とか、部屋が細かく分かれてる家だと、普通のWi-Fiルータ1台で家中まかなうのは物理的にムリがあったりします。そんな家に住んでいる人には、ここでおすすめするようなメッシュWi-Fiソリューションが役立ちます。
・おすすめは:Netgear Orbi RBK50(310ドル、日本価格3万8869円)
この手の商品でベストなのは、消臭剤みたいな白いプラスティッキーな外見さえ許容できれば、NetgearのOrbi RBK50(310ドル、日本価格3万8869円)です。これなら大きな家のどこにいても、安定したWi-Fiライフが送れます。他のメッシュネットワークソリューション同様、設定はスマホアプリでも、Webブラウザから「orbilogin.net」にアクセスする方法でもできます。各ノードにはギガネットイーサネットポートが複数あるので、家のあちこちのTVセットトップボックスやゲーム機には有線でつないでおけば、さらに接続が安定します。USBポートもあるので、ここにプリンタをつないでおけばネットワーク上の他のデバイスから簡単に印刷できます。
・またはこちらも
ルータへの有線接続とか、ブラウザから設定画面へのアクセスとかは不要な人、または消臭剤ライクな外見に耐えられない人には、Google Wifiのほうがいいかもしれません。見た目もすっきりしてるし、設定は洗練されたモバイルアプリから可能で、ネットワーク性能の確認もできます。あとは特定デバイスへのネットアクセスのスケジューリングなんかもアプリからできて、子どものネット利用時間を管理するのも簡単になります。それからセキュリティパッチとかソフトウェアアップデートは全部自動でバックグラウンドで行なわれるので、ほぼメンテナンス要らずになり、たとえば実家のWi-Fi構築とかするのにも都合がいいです。
・どんな人が使う?
いつかバーチャルアシスタントがあらゆる場面に入り込んでくるという現実を受け入れられるようになったら、スマートスピーカーの買いどきです。天気を調べたり、好きなスポーツチームの試合状況をチェックしたりするためにいちいちスマホを探すのは面倒だし、スマートホーム対応デバイスを声だけで操作できるのはやっぱり気持ちいいです。
・おすすめは:Google Home Mini(49ドル、日本価格6480円)
Google Home Miniは、ミニじゃない方のGoogle Homeよりぐっとお安く(日本だと4860円の差)、他の家電のオマケとしてもらえることもあります。それでも、安かろう悪かろうってことは全然ありません。Google Home Miniの小さくて丸くて色も選べる筐体には、Google謹製の有能なアシスタントがちゃんと入ってます。万一デザインが気に入らなくても、小さいから隠すのも簡単です。
スマートスピーカーという分野を開拓したのはAmazonのAlexaかもしれませんが、その後Google Assistantはより有能に、より良く音声コマンドを理解するようになりました。我々はもはや文字通り指ひとつ動かすことなく、Googleのオンラインサービスほぼすべてに接続できるようになっています。Google Home Miniは比較的安いので、家中どこでも使えるように3個とか買ったとしても、そんなにお財布が痛みません。ただ、音楽ストリーミングサービスを使ったりスマホとつないでBluetoothスピーカーにしたりもできますが、音質重視の人は別の手段を考えたほうがよさげです。
・またはこちらも
AmazonがAlexaを出したのはGoogle Homeより早かったので、すでにAlexaを長く使っている人、Amazonのエコシステムにどっぷりつかっている人にとっては、最新のEcho Dot(50ドル、日本価格5980円)のほうが使いやすいかもしれません。こちらは先代より見た目も音質も改善しているし、もっと本格的な音を求めるなら大きめのスピーカーにつなぐこともできます。ただAlexaはGoogle Assistantほど有能じゃないので、設定変更とかのためにモバイルアプリを開くのが面倒かもしれません。それでも、AppleのSiriに比べたら何光年も先を行ってます。
・どんな人が使う?
家はきれいにしておきたいけどそんなにしょっちゅう掃除機かけたくないし、お掃除サービスを利用するのもなんかもったいない、でもガジェットで家事負担を軽減するのはアリ、そんな考え方に共感できる方へ。
・おすすめは:Neato Botvac D7 Connected(800ドル≒約8万8000円)
Neatoはロボット掃除機といわれて最初に思い浮かぶ名前じゃないかもしれませんが、Botvac D7 Connectedには他のロボット掃除機にも使われてる最新ナビゲーション技術が搭載されています。Neato Botvac D7 Connectedは(日本では公式には未発売ですが)レーザーを使って各部屋の詳細なマップを生成するので、寝室がぐちゃぐちゃでまだ掃除機どころじゃないみたいな場合、モバイルアプリで立ち入り禁止エリアを設定することができます。家の中の特定の部屋とかエリアに名前を付けることもでき、将来的には「キッチンを掃除して」みたいに指示を出すとその通りに動いてくれるようなスマートアシスタント機能も搭載される予定です。
・またはこちらも
ロボット掃除機は掃除の後に集まったゴミを捨てる作業が面倒ですが、iRobotはその作業すらもロボット自身がやってくれるRoomba i7+を開発しました。ただ、便利なだけにお値段950ドル(日本価格12万9880円)もするし、ゴミを貯めるドックを設置するスペースも必要になります。でもRoomba i7+にはiRobot最高の頭脳も入っているので、部屋のマッピングやスケジューリングはもちろん、特定エリアだけを掃除するルーティーン設定などもすべてモバイルアプリから可能です。
・どんな人が使う?
スマートスピーカー買ったら、天気や映画情報や肉をオーブンで焼く時間までもスマートアシスタントに聞かずにはいられなくなる…かもしれません。でもスマートホーム全体をコントロールするには音声コマンドだけじゃ物足りないと感じたら…タッチスクリーンの出番です。
・おすすめは:Google Nest Hub(130ドル≒約1万4000円、日本ではウェイトリスト受付中)
Amazon Alexaは先発ではありましたが、Google Assistantに能力的にも売上的にもすでに抜かれています。そしてGoogleは、タッチスクリーン付きハブとしては一番安いGoogle Home Hubを投入し、これが先日のGoogle I/OでGoogle Nest Hubへと刷新されました。それでもお値段はGoogle Homeに30ドル(約3300円)追加するだけの130ドル(約1万4000円)で、Amazonのディスプレイ付きハブ・Echo Showの230ドル(約2万5000円)よりだいぶ手頃です。そしてうれしいのはNest Hubは日本でも発売されることで、この記事翻訳時点ではウェイトリスト登録受付中です。
Google Nest Hubは音楽や動画を聞いたり見たりするのに最適なデバイスというわけじゃないですが、7インチのタッチインターフェースはスマートホームデバイスをとりまとめるのに便利です。家庭での使いやすさに特化しているので、たとえばレシピを探して画面に適した形で表示するのが得意で、料理中にはありがたいです。そしてGoogleにはNest Hub Maxもありますが、カメラが付いてないぶんNest Hubのほうが安心じゃないでしょうか。
・またはこちらも
Google Homeより先にAmazon Alexaを導入してAmazonどっぷりになってしまった人には、Echo Showのほうがいいかもしれません。タッチスクリーンはNest Hubより大きめの10.1インチで、フロントカメラでビデオ通話もでき、スピーカーの質もベターです。またPhilipsのHueみたいなスマート電球とつながるワイヤレスプロトコルもネイティブサポートしているので、より簡単に操作できます。ただお値段230ドル(日本価格2万7980円)と、わりとプレミアムを載せられてる感じです。
・どんな人が使う?
TVのリモコンを持って、ふと「なんで他のデバイスはリモートで操作できないのかな?」って疑問に思ってしまった人へ。スマートプラグがあれば、それが可能になります。そしてこれを使うと「スマートホーム」ってどういうことなのか、お手軽に実感できます。
・おすすめは:BelkinのWemo Mini (30ドル≒3300円)
6年前に発売されたBelkinのWemoは、スマートホームが出始めの頃から信頼できる製品のひとつでした。その後のアップデートを経てコンパクトなWemo Miniが登場、こちらは他のスマートプラグにありがちな「サイズが大きすぎて隣のコンセントまでふさいじゃう」問題を解決しています。しかも別途ハブを使わなくてもWi-Fiに直接つながれるので、iOSまたはAndroidアプリから直接、プラグにつないだガジェットのオンオフをコントロールできます。AmazonのAlexa、Google Assistant、AppleのSiriすべてに対応してるので、今家にある古い照明や扇風機、などなどを音声コントロール可能にできます。
残念ながらこちらも日本では通常販売していないようなのですが、同様にコンパクトかつハブ不要のスマートプラグはこれとかこれとかいろいろあって、むしろ日本のほうが層が厚いかもしれません。
・どんな人が使う?
旅行に行くときに、ずーっと真っ暗だと不用心かもって気になってしまった人。または家にいるとき、ソファに座ったままで照明を気分に合わせてムーディに調節したい人にもぜひ。
・おすすめは:Philips Hue(70ドル〜、日本価格8,541円〜)
Philips Hueは、かかる手間より利便性が大きいと思えた初めてのスマートホーム製品です。2012年に発売され、以降ほぼあらゆるタイプの電球やセッティングに拡大してきました。モバイルアプリでリモートでオンにしたり、ムーディに暗くしたり、タイマー設定したり、モーションセンサーでオンにしたり、色を変えたり、AmazonのAlexaやGoogle Assistantのような音声アシスタントにつなげたりもできます。ただWi-Fiに直につながらないので、フル活用するにはハブが必要です。まずは一番手軽なPhilips Hueホワイトグラデーションスターターセット(ハブと白色電球2個、それにディマースイッチがセットになってます)から始めて、だんだん広げていくのがおすすめです。
・またはこちらも
もっと安くてハブも不要なスマート電球が出てきてます。TP-LinkのKasaは記事執筆時点で2000円台中盤で買えて、ハブなしでWi-Fiにつながり、Amazon Alexa対応で音声操作が可能です。アイリスオーヤマのスマート電球もAlexaとGoogle Homeに対応してるなど、選択肢が豊富になってきましたね。
・どんな人が使う?
外出するときにふと、高額ガジェットをはじめとする家財の安全が気になってしまう人。または赤ちゃんとか高齢のご両親とか、見守りたい誰かがいる人へ。
・おすすめは:Logitech Circle 2(180ドル≒約2万円〜)
Logitech(日本だとロジクール)のCircle 2は、1080pでの動画撮影や180度という画角の広さ、防水防塵といったスペックもさることながら、ソフトウェアの使いやすさも高評価を得ています。画像認識機能で人物を検知したり(個人の判定まではしないですが)、暗視撮影できたり、1日分の動画を30秒のタイムラプスにまとめたりと機能も豊富、Amazon Alexa・Google Assistant・Apple HomeKitに対応してますが、残念ながら日本では未発売なのです。
米Giz的もうひとつのおすすめはLighthouseで、こちらは3Dでの動体検知や人物の顔認識、保存した動画の人物での検索などAIっぽい機能満載でまさにスマートなカメラだったんですが、「商業的成功が得られなかった」として閉業してしまいました…!
米Gizからのおすすめがどちらも日本で買えないので、代替できる良品を探してみたんですが、広角・1080p撮影、暗視、録画機能、通話機能、防水、人物検知、Amazon Alexaなどのアシスタント対応…といった条件を全部満たすものはなかなかないですね…。あ、でも導入しやすいものとしては、ドン・キホーテの3,980円のカメラはお手頃なのに基本的な機能がちゃんとそろってて良さげです。ほかにもAmazonを見ればいろんなモデルがあるにはあるんですが、日本語が微妙なものが多かったりして、セキュリティ商品なのになんとなく不安を感じてしまいます。
でも今、GoogleもセキュリティカメラのNest Camを充実させてるし、AmazonもBlinkを買収しました。そしてAppleは、先日のWWDCでHomeKitのセキュリティカメラ対応を発表しただけでなく、上に書いたLighthouseの特許をひっそり買い取ってたことも発覚しています。このへんの大手の動きから、日本でも安心して使えて高機能なセキュリティカメラの決定打が生まれてくるのかもしれません。
Source: Netgear、Google(1、2、3、4)、Amazon(1、2、3、4、5、6)、Neato、Belkin、Philips、Logitech、Lighthouse、The Verge