第545回:注目のDSD対応USB DAC 3機種を比較する【その1】

第545回:注目のDSD対応USB DAC 3機種を比較する【その1】

3機種の基本的な違い

 今回取りあげるDSD対応のUSB DACはティアックのUD-501(11万円/実売99,800円)、コルグのDS-DAC-10(オープンプライス/実売54,780円)、ラトックシステムのRAL-DSDHA1(72,000円/実売59,800円)。ラトックシステムでは、バランス駆動のヘッドフォン出力を備えた上位版のRAL-DSDHA2(標準価格120,000円/実売99,800円)という製品も出ているが、今回使ったのは、RAL-DSDHA1のほうだ。

ティアックのUD-501コルグのDS-DAC-10ラトックシステムのRAL-DSDHA1左からUD-501、DS-DAC-10、RAL-DSDHA1

第545回:注目のDSD対応USB DAC 3機種を比較する【その1】

 まず、3つの製品を並べてみたので、その大きさの違いを確認いただきたい。明らかに大きいUD-501とコンパクトなDS-DAC-10およびRAL-DSDHA1という感じだろうか。もっともUD-501だけは、単にPC用のUSB DACというわけではなく、オプティカルおよびコアキシャルのS/PDIF入力に対応したDACとしても機能するもので、出力もRCAのラインアウトのほかに、XLRの出力も備えた格上の製品といった感じではある。

 では、それぞれをスペックで比較してみるとどうだろうか? そもそも、どの項目を比較するのがいいのかが分からないが、主にDSDに関する部分のみを抜き出して並べてみた。同じ国産のDSD対応USB DACとはいえ、こうみると、大きさや値段だけでなく、それぞれの製品で結構違いがあるのがわかるだろう。

TEAC
UD-501
KORG
DS-DAC-10
RATOC
RAL-DSDH1
DSD64(2.8224MHz)
DSD128(5.6448MHz)×
DoP対応×
ASIO(DSD)対応×
電源AC100VUSB電源供給ACアダプタ
付属プレーヤーソフトTEAC HR Audio PlayerAudioGate×
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
290×244×81.2mm120×150×48mm133×167×43mm
重量4.0kg530g615g
標準価格110,000円オープンプライス72,000円
実売価格99,800円54,780円59,800円

 いずれの製品もDSD64、つまり2.8224MHzのデータの再生には対応しているが、5.6448MHzのDSD128に対応しているのは、UD-501とDS-DAC-10に絞られる。まあ、DSD128のデータなど、現状ほとんどないので、あまり気にするほどの違いではないかもしれないが、選択のためのひとつのポイントではある。

 一方、PCでDSDを扱うに当たって、非常に難しいのがドライバを含めた再生の仕組み部分だ。ご存知のとおりDSDはPCMとはまったく考え方の異なる方式であるため、これをPCに扱わせるのはトリックが必要となる。現在、大きく2通りの方法があるが、そのひとつはDTMではお馴染みのASIOドライバを利用するという方法で、これが安全で確実な方法ともいえる。

 ASIOはドイツのSteinbergが開発したオーディオドライバの規格で、最近はPCオーディオのユーザーからも支持されているものだが、2005年にASIO 2.1にアップデートされた際に、DSDに対応するようになったのだ。もっとも、当時DSDに対応したのはソニーのVAIOだけであり、つい最近までその状況が続いていたが、最近になってこれに対応する機器が増えてきているのだ。今回の3機種のうち、RAL-DSDHA1のみが非対応となっているが、実はPCMにおいてはRAL-DSDHA1もASIO対応しているので、アプリケーション側からはASIOドライバが見える。ただし、DSDネイティブには対応していないので、UD-501やDS-DAC-10とは別モノなのだ。

 もうひとつはDoP=「DSD Audio over PCM Frames」という方式を使う方法。以前はdCSとかPlayback Designといった会社がそれぞれPCMの仕組みを利用して、DSDをダマして流す方法を開発していたが、両者が合意してまとまったのがDoPというもの。以前、コルグにインタビューした際、「DoPは何かトラブルがあると、機器にダメージを与える可能性もある」という話をしていたが、そうした観点からコルグだけはDoP非対応となっている。