「ポータブルWi-Fi」レビュー
25/03/2022
悪くないんだけどね…
Samsung(サムスン)の「Galaxy S22シリーズ」がまもなく発表されますが、それを前にして廉価…というわけでもないスマートフォン「Galaxy S21 Fan Edition」を買う理由を、米GizmodoのFlorence Ion記者が考察していますよ。
Galaxy S21 Fan Editionは決して悪いスマートフォンではありません。それでも、これを購入する理由を見つけるのは難しいのではないでしょうか。
Google(グーグル)のより小型な「Pixel 6」が100ドル安く、より優れたカメラを搭載してることを考えると、この「Fan Edition」はよほどのサムスンファンでなければ、欲しいとは思わないでしょう。
Galaxy S21 FE
これはなに?:サムスンのもっとも安いGalaxy S21ラインナップ
価格:700ドル(約8万1000円)から
気に入った:コンパクトなデザイン、美しいディスプレイ、長い駆動時間
気になった:夜景モードはPixel 6ほどよくなく、望遠レンズの画質も他のGalaxy S21と比べるとイマイチ
サムスンのデバイスでいつも評価できるのは、そのプレミア感の高さ。これはGalaxy S21 Fan Editionでも共通しており、Androidスマートフォンのなかでも際立っています。背面にはトリプルカメラの突起がありますが、このデザインは次期Galaxyでは採用されないという噂。
しかし、他のGalaxy S21スマートフォンとくらべると、S21 Fan Editionは安っぽくみえます。本体エッジに派手な装飾はなく、バックパネルは単なるプラスチック素材のようです。ただしマット素材を採用しているので、「OnePlus 9」や「Pixel 6」のように机の上で滑ってしまうことはありません。
S21 Fan Editionにはパープル/オリーブグリーン/ホワイトなどのカラーバリエーションがあります。今回試したのはブラックモデルですが、実際にはダークグレーのようにもみえます。
Galaxy S21 FEのボタン配置はGalaxy S21と同じで、音量調整と電源ボタンは本体右、スピーカーグリルとSIMトレイは本体下にあります。画面にはほぼベゼルレスな6.4インチのDynamic AMOLEDディスプレイを搭載。Galaxy S21+の6.7インチとS21の6.2インチと比較すると、丁度いいと感じる人もいることでしょう。またディスプレイには指紋認証機能が搭載されており、指の起き方には少し癖がありますが、問題なく動作します。
Galaxy S21 FEの画面リフレッシュレートは120Hzなので、なめらかで美しい表示が可能です。またステレオスピーカーの音量も十分に大きく、動画再生にはもってこいです。
Galaxy 21 FE 5GにはQualcomm(クアルコム)の「Snapdragon 888」が搭載されていますが、これは2021年に発売された多くのフラッグシップAndroidスマートフォンに搭載されていたプロセッサで、最新モデルというわけではありません。
RAM容量は6GBとミッドレンジレベルで、Snapdragon 888と8GB RAMを搭載したOnePlus 9と比較すると、わずかですがパフォーマンスに違いがあります。例えば「ポケモンGO」のような負荷の高いゲームで、アニメーションが途切れる…といった違いがあります。
複数のベンチマーク結果を参照すると、Galaxy S21 FEのスコアは同じプロセッサを搭載したサムスンの折りたたみスマートフォンと同程度でした。一方で4500mAhの大容量バッテリーのおかげか、バッテリー駆動時間は13時間29分と十分なスペックです。
Galaxy S21 FEには1200万画素の広角レンズ(F1.8)、1200万画素の超広角カメラ(F2.2)、800万画素の望遠カメラ(F2.4)と3つの背面カメラが搭載されています。前面には3200万画素の自撮りカメラ(F2.2)が搭載されていますが、セルフィーのためには解像度が高すぎる気がします。
Galaxy S21 FEで撮影した写真は、特に問題はありませんでした。日中なら子供の動きにあわせて、そして夜は低照度での撮影が可能で、安心して撮影できました。した。しかし、問題なのは背面のズームレンズです。
Galaxy S21では6400万画素のマクロカメラだったのを800万画素のズームカメラに変更したため、光学3倍ズームで撮影した写真はあまりシャープではありません。今回は三脚を利用し、4800万画素の光学4倍ズームを搭載した「Pixel 6 Pro(廉価版のPixel 6には搭載されていません)」と比較してみました。
個人的にはサムスンのカメラは演出が過剰であまり好きではないのですが、今回のFan Editionも同様です。
日中に撮影した写真は鮮明ですが、完璧に晴れた日だと青みがかった色になってしまいます。Pixel 6 Proで撮影した同じ写真ではディテールを強調するために色味を抑える傾向があり、それがハッキリと現れています。Galaxy S21 FEで撮影した写真は、Pixel 6 Proよりも白飛びしていることもあります。
動きの速い被写体にズームインした際にも、このような過剰な加工がみられます。風になびく旗を2回撮影しましたが、未処理のピクセルらしきものが2回とも残っていました。アンチエイリアスのようなこのドットは、クロップで取り去ることができませんでした。
Galaxy S21 FEの夜間撮影機能もPixel 6ほどスマートではないため、性能的には平凡です。Pixel 6では三脚に固定されていることを感知すると、自動的に長時間露光モードに切り替わります。一方でGalaxy S21 FEではカメラアプリ内にマニュアル機能があり、手動で切り替える必要があります。
上の作例ではPixel 6 Proは4分間露光しており、飛んでいく飛行機や丘の上の質感まで、多くのディテールをとらえています。一方でGalaxy S21 FEのナイトモードではそのようなディテールは捉えることができず。緑がかった暗い夜景になってしまいました。
サムスンはスキン「One UI 4」の形で、Android 12をGalaxy S21 FEに提供しています。また最大4年間のセキュリティアップデートが約束されているので、カメラに我慢できるのであれば悪いスマートフォンではありません。
One UIには独特の癖があります。例えば、Android 12の特徴となるカラーテーマの選択機能「Material You」は利用できません。しかし画面端に隠れたスライド式のドックにアプリやアイテムを固定できるなど、便利な機能もあります。さらに、Windows PCとサムスンのデバイスを連携させる機能もあります。
Galaxy S21 FEはサムスンの熱心なファン向けの製品かもしれませんが、登場が遅すぎかつ機能も少なすぎるので、購入する理由を見いだせません。ナイトモードの機能向上など、多くの新機能を搭載したGalaxy S22が間もなく発売されるので、それを待ってから判断した方がいいでしょう。